金曜日, 7月 02, 2010

壊れる直前の、高揚感

来年「岳」が映画に。
三歩役は小栗旬だって。

・・・・・・・うううーーーーーん。

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で。伊坂幸太郎原作の映画です。

「ゴールデンスランバー」
主演:堺雅人
監督:中村義洋

「アヒルと鴨のコインロッカー」などでも
コンビを組んだ、原作伊坂×監督中村 の作品。

 # 仙台で行われた首相の凱旋パレードの最中、
 # 爆発事件が起こり、首相は死亡。
 # 学生時代のサークル仲間に「釣りに行こう」と
 # 呼び出されていた青柳は、その爆発現場に居合わせ、
 # 突然爆発事件の犯人として追われるハメに・・・


唐突ですが、私はゴハンに関してはバランスよく食べられる人なんですが
(要は、カレーで「ルーだけ残った」とかがない)、
本に関してはバランスを非常に欠いた読み方をする人で、
一人の作家が気に入るとそればーっかり読む時期というのがあります。

伊坂幸太郎の本もそうで、半年位前に
ほぼまとめて一気に読みました(ちなみに今は熊谷達也)。

この人の「あり得ないシチュエーションに、
まるで隣の家の出来事のように当たり前の風景をガッチリなじませる」
という作品作りは、天才的だと思います。

映画を見終わった後の感想は、
素直に「やー面白かった」。

原作の力がすごいのはそれはそれとして、
映画は映画として素直に楽しめました。

見終わった後、この映画のCMを作るとしたら
どんな感じだろう?とか考えてたんだけど、
「全米が泣いた!!」なんていうコピーとか、
最近よくある試写会の出口で、見終わった人にインタビューして
「最っ高に感動しました!」とか言わせるヤツとか、
ああいうのが「一番似合わない」と思う。

ただ淡々と、コマを繋げていくようなCMがいい。

プロットだけ聞くと、ハリウッドなら
ブルースウィリスで撮りそうな映画だよね(笑)。


基本的に、
「あの時こういう伏線があったのに、ラストで辻褄が合わない」とか、
そういう事を考えて映画を見る人は見ても仕方ない。
謎解きの要素があるので「ミステリー」だと
思って見る人が多いのかもしれないけど、私は違うと思う。

伊坂幸太郎自身が映画好きというだけあって
・・・・なんなんだろう。この、映像にしたときの
「時代の空気感を絶妙に捉えた感じ」は。

絶対にあり得ないシチュエーションの中にある、
ある意味でのリアル。

例えば、もし家でテレビを見ていて、
学生時代のいいヒト系の元彼が、
突然全国指名手配犯として
テレビに映し出されたら・・・・ 確かに現実は、わりと普通に

「・・・・なにやってんの。青柳君」

とか、つぶやいちゃいそうだ(笑)。


俳優陣も素晴らしくて、堺雅人、竹内結子、香川照之など
実力派揃い。伊坂作品の魅力は突飛なキャラクターあってだし、
音楽やお芝居っていうのは、上手な人が出てると
本当に安心して集中できるよね。

チョイ役で出ている、大森 南朋とかも
いい味出してるんだよなー(単に私が好きってだけか?)

謎の通り魔犯・キルオ役をやってる濱田岳という子が
とても素晴らしいっ! この役は、そもそも彼にアテ書きで
書かれたそうで、それ故に完全にハマリ役だった。


作品名の「ゴールデンスランバー」は、
ビートルズのラストアルバム「アビイロード」の中の
1曲だけど、実は私はこのアルバム自体があまり好きじゃない。

聴いてるとなんとなく物悲しくなるアルバムだし、
これに「The end」なんて曲を入れるのは、
すごいタチの悪い悪ふざけって気がしてたし。

でもこの映画を見ながら、人っていうのは、
何かが壊れていく(それは“死”も含め)直前に、
退廃的なんだけど、その時にしかでき得ない・・・
なんていうか、爛々と咲き誇って散っていく直前の花の成熟感
みたいなパワーを発揮するのかもしれないな。なんて思った。


 生きてりゃなんとかなる。

確かにそうだね。

人間っていうのは、見た目ウンヌンではなくて、

 過去の積み重ね + 今・この瞬間 = 私

という方程式でできてるんだな。

もうDVDもあるようですよ。ゼヒ。

2 件のコメント:

あっつ さんのコメント...

>過去の積み重ね + 今・この瞬間 = 私

納得です。
後悔ばかりしていた時にこの方程式に気づき、
今の自分を好きになれない自分がいて当たり前だとわかりました。
あと、この瞬間が変えられることができるから、
私自身も変わることができるともわかったり。

それにしても、活字離れどうにかしなきゃ。

立丸 さんのコメント...

実はこの映画の影響でGW終わりの仙台行きを決めました。

映画について部分部分は楽しめたのですが謎はほとんど明かされなかったですよね。