木曜日, 2月 26, 2009

50になっても分からない。

こないだ久々に
自分がNZ滞在時に書いたブログ読んだら、
愚痴めいた事がまったく書いてなくて愕然!

・・・別人の文章みたい。 悲しすぎだ。。

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自分が見た映画や落語の話を
ここによく書きますが、今日はその「どっちも」な話。

ドキュメンタリー映画「小三治」を観てきました。
落語家として今や集客力は5本の指に入る柳家小三治の
日常を追いかけたドキュメンタリーです。

大体何がビックリしたって、単館映画とは言え満席ですよ。
毎回満席らしい。
そして見に行く時に、時々一緒に落語を観る
他の面子にも声をかけてみたところ、我も我もと計6名。

そもそも「落語」というカルチャーが、
こんなに広く一般に受け入れられるって時点で私はオドロキ。
や~時代だよね。


はっきりとした記憶はないんだけど、柳家小三治は
私が落語が好きになった「きっかけの人」です。
それまでも落語は見ていたけど、
「あ、落語ってすごい芸能なんだな」って思ったのは、
小三治が最初だったような気がします。

小三治の落語は、とにかく「イメージできる落語」。
ノッてる時の彼の落語は、例えばその噺の主人公が
親子だったとすると、そのお母さんの着ているもの、風情、
その周辺にある鍋釜などの日用品など、周りの情景が
ありありと目に浮かんできます。
それは本当に大げさでなく、感動する瞬間だったりします。

小三治って、若い頃はスキーだ、バイクだ、音楽だと
ものすごい多趣味な人で、しかもどれも結構突き詰める
トコまでやらないと気が済まないタイプ。
それでいて、映画でも言ってたけど、どこか自分への自信のなさが
あって、「落語家は俺には向いてないねえ」なんて言っちゃうんだ。
今や、「最もチケットが入手できない噺家」のひとりなのにね。

・・・私が言うのはおこがましいけど、
なんか私、似てるんだよね。性格とか考え方とかが。
映画観てる時も、彼の発言にいちいち同感したりして。

小三治って、若い頃は「笑点」にも出てたし、
案外メディア露出もあったりして試行錯誤してた人なんだよね。
メディアに出てる上に男前なので、当時から人気があったみたい。

でも今や、古典落語の腕は本当に落語界屈指。いぶし銀の噺家です。
本人も、「色々な事が見えてきたのは、ようやく50を過ぎてから。
それでもまだまだ、分からない事だらけだね。。」と言ってました。

・・・私も50代になったら、今よりもう少し
色々な事が見えてくるのかしら?

だとしたら、それはそれで年を取るのが
ちょっと楽しみだったりします。


帰りに一緒に映画を見た面子と飲んで、またも午前様。
何故かあのメンバーと飲むと、バカ話ばっかで
ペースが早くなるんだよな。。
それも、50代になれば節度ある「大人の飲み方」に
なるのかしらね?
(って、昨日のメンバーの平均年齢は既にほぼ40歳ですが 苦笑)

月曜日, 2月 23, 2009

感じる週末

某サイトの「職場の人間関係に問題を感じているか」
というアンケートが、

・感じている
・やや感じている
・どちらとも言えない
・あまり感じない
・感じない         の5択だった。

・・・・・「超感じている」 はないんかいっ!!

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いろんなカルチャーに触れた今週末。

金曜日は、お気に入りバンド
ハッチハッチェルのライブ@下北。

ハッチさん、カッコいいよなあ~。
とても40代とは思えん。
バックのたゆまない努力を見せずに
アホな事をさらりとやってのけるのって、
何より難しい事だと思う。

ハッチさんの前のバンド、デキシード・ザ・エモンズは
ゴリゴリのロックバンドで、インディーシーンでは
解散ライブで日比谷の野音をいっぱいにしたバンド。
しかもパートはドラム。

それが今や オッサンブルース(?)で、
ボーカ&ギター&バイオリン。
マジ、多彩すぎです。

人の「向かうところ」はいくつになっても
変わるんだ。変われるんだ って思える。

ああいう大人になりたい、と思わせる人だよな。

さらに今回は、浅草の飲み屋で知り合った(笑)という
ダンサーさんが、相当キワドイ ヌギヌギのダンスを披露。

や~ 盛り上がり必至だって!














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でもって、日曜は舞台「ワーニャ伯父さん」@池袋。

友達の知り合いが演劇関係の仕事をしていて、
その繋がりでのお誘いでした。

元々は、著名な人が出演していないので
入りが悪いって事でのお誘いだったんだけど、
中味はシッカリ「魅せる」お芝居でした。

原作がチェーホフなので、若干ナンセンス系かなと
思ってたんだけど、かなり分かりやすかった。演出がいいのかな。

まー、主役の「ワーニャ伯父さん」は、
片田舎でなかなかうだつの上がらない役ドコロなので、
観ている「庶民」の私達としては、シンパシーを感じると同時に、
ちょっと切ない気持ちにもなるんだけど(笑)。

お芝居って映画とはまた別の魅力があって、
役者さんの息遣いがその場で感じられるものだから、
時々観に行くとすごく新鮮。

出演者に、元・第三舞台の小須田さんがいて、
小劇団ブームの頃のファンとしては、
なんとも嬉しい&懐かしい思いでした。

今やあの頃の劇場や劇団は、ことごとくなくなって
しまったからなー。渋谷のジャンジャンももうないし。
時は確実に流れていますな。


・・・・この週末は、土曜日も含めて毎日友達と会ってたんだけど、
芝居でも映画でも音楽でも、そういうものを私自身が
とてもリスペクトしていると同時に、そういうものに
誘ったり誘われたりしながら、友達との関係性が深まったり、
互いを理解しあえたりするのって、本当に嬉しい事だなって思う。

改めて、自分の周りにいるたくさんの人に
感謝の気持ちでいっぱいになった週末でした。

これからも、いろんなものを
見て、感じて、吸収していきたいっす!

水曜日, 2月 18, 2009

当たり前の事を、当たり前に。

高校時代の超久々に会う友達と飲んだ。
卒業してから20年近くたってるわけだが、
なんでこんなに
「空白の時間」を感じないのか不思議。

それが「同級生」ってヤツなのかしら?

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今回は「愛おしき隣人」です。
や、間もなく終わるから。「映画マイブーム」(笑)。

元々なんかの映画の予告編で観て
ちょっと感じがよかったので見たんだけど、
(「Stylejam」って配給会社のセンスが好きなのよ。私。)
もー見て5秒で分かる「ヨーロピアンテイスト」。

アメリカ人には、1000年たってもこういう映画は
作れないだろうと思う。
いいとか悪いとかじゃなくて、それくらい
「ヨーロッパ」っぽかったって意味。

大体ストーリーなんてないに等しくて、
同じアパートに住む様々な事情を持った
様々な人たちが、日々ちょっと悲しかったり、
嬉しかったり、夢見たりする様子をオムニバスっぽく
描いています。

その情けない感じとか、ありがちな感じが、
逆にリアルでいいんだと思う。

・・・元々、映画でも歌でも芝居でもなんでもそうなんだけど、
作品にあえて「メッセージ」とか「ストーリー」を求めてないから。私。

もちろん伝えたいメッセージがあれば、それはそれで
作り手の気持ちを受け止める努力はするけど、ないならないで、
それは「白紙の紙」を渡されたのと同じ事なので、
私が最後に自由に味付けできる。
「作品を完成させるのは、あなたの“気持ち”ですよ」っ
て言われてるみたいで、ちょっと嬉しい。

だって、

「さあ!ここが泣くとこです」
「ホラ、ここが笑うトコね!」

って明らかに強制されてる映画や歌ってツマラナクないですか?
私の「妄想癖」も力を発揮できないしさー。

話が外れるけど、こないだ会社の事業部長(普段あまりコンタクトなし)に、
「○○さん(私)って、サブカルなんでしょ?」
っていきなり言われて、そりゃどーなのか!と。思ったさ。


私、サブカルかな~??
確かにメジャー思考のカルチャーは好きじゃないけど、
それって、「メジャーだからヤ」なんじゃなくて、
「メジャー独特の“泣かせまっせ”“笑わせまっせ”な感じ」
が嫌いってだけで。


ま。今回の作品は、別に強烈レコメンドではないけど
ただボンヤリしたい時にはいいかも。

でも眠たい時に観るのはやめたほうがいいよ。
面白くないとかっていうより、「この後どうなるの!?」
みたいな引っ張る要素はないので、眠くなったら寝ちゃうと思う。

でも途中でやめて後から続きを見ても
全然ノープロな内容です。

ヨーロッパのごく日常的な風景(家の中とかバーとか)が
たくさん出てくるので、それ見るだけでもナカナカ
カワイクて楽しい。


*本当はこないだ「CONTROL」も観たんだけど、
 Joy Division知らない人には全くもって
 興味がないと思うので書きませんでした。
 やー 私はこっちのが面白かったぞ。
 だからせめて画像だけはこちらも。


月曜日, 2月 16, 2009

It's now or never!

たまたま英語の調べ物してたら
このタイトルが急に出てきた。

「今じゃなきゃ、いつやるの!」って意味です。

・・・・ホントそうだよね。

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友達のブログにこういう書き方されちゃーねー。
もうね。私にしては最近ちょっと映画観すぎな気がしましたが
観に行ったさ。

「Into the wild」

 アメリカのある裕福な若者が、
 自分の出生(両親の不仲)や、物にあふれた暮らしに辟易し、
 ヒッチハイクや狩猟・短期労働で食いつなぎながら
 アラスカへ向けて進んでいく。


もう手垢がつきまくった言葉なので好きじゃないけど、
まあ「自分探し」の映画なんだろうね。コレは。
しかしノンフィクションっていうのはまず凄い。

共感できるところもいっぱいあるし、
逆に「現実問題そりゃー無理だろ」って事もいっぱいある。

ただ、この原作の著者がエベレストの大量遭難事件を書いた
「空へ」っていう本と同じ著者だと知って、ナルホドなーと思った。
※この本、とっても面白いです。ぜひ。

この大量遭難は、登山史の大きなトピックだったと同時に、
観光感覚(?)で世界最高峰に臨もうとした人たちを非難する人たちと、
既に亡くなった人を非難するのは、彼らのチャレンジ精神に対する冒涜だ
という、両極の考えの人たちの議論を呼んだんだそうで。

今回の「Into the wild」の主人公クリスも全く同じ。

「そんな無謀な事をしたうえで死んでしまったなら自業自得だ」
「自分を見つめ、自分の限界に向かったクリスは尊い」

本国で封切られた時は、両方の意見がかなり対立したそうです。

でもさー。
きっと当の本人はそんな事どうでもいいのよね。

もしも。もしもだよ。
彼が実は死ぬ前に、「ああ~・・・。こんな無謀な事しなきゃよかった!」と
悔やんで死んでいったとしても、それは彼の人生だもの。
誰にも、文句はもちろん、感想を言う権利すらないじゃん。

家族を巻き込んで翻弄してしまった事とか
確かに問題なのかもしれないけど、
そしたら世の中に、「家族の問題に“子供”を巻き込んでしまう親」が
どれほどいることか・・・・。


泣かせようとか、感動させようとかじゃなくて、

「こんな人がいました」

って事を実直に描いた映画だったので、
私は素直に見てよかったなと思いました。

個人的には、彼のように生きたいよ。私も(笑)。

木曜日, 2月 12, 2009

愛のムチ って難しい。

う~~ん・・・。

自分でも なにを どうしたいのか
分からなくなってきた。最近。

時々あるな。こ~ゆ~スパイラル。

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クドイようですが(笑)、立川志の吉君の
隔月独演会@八重洲に今月も行ってまいりました。

なんかもー、志の吉君の母の気分(年はほぼ一緒なんだけどさ)。
または、近所のオバチャン。または、ジャニーズジュニア追っかけ。
なんかどんどん成長が見られるのが楽しみっていうの?

今回は、

・初音の鼓
・片棒

という、そこそこ上手な人がやれば
笑いどころの多い楽しい噺でした。

特に「片棒」は、

 ケチな商人の3人の息子が、
 父親から「俺が死んだらどんな弔いをしてくれる?」という
 質問にハチャメチャな回答をする

という話なんだけど、マクラの噺がとても「マクラらしい」・・、
つまり本編の噺にしっかり絡んだネタだったので、とてもすんなり
世界観に入っていけました。

今回前半のマクラは、師匠・志の輔のネタで、
毎回彼が師匠の話をすると本当に爆笑モンなんだけど、
立川流はとにかく「弟子に厳しい」ことで有名な一門なので、
あの「ガッテン」の優しいイメージがある志の輔も
ご他聞にもれずとても厳しい。

どっかの本で読んだけど、志の輔は、ある程度芸がモノに
なるまでは弟子の名前すら呼ばないらしい。
「おい、弟子」って声かけて、あごで使うんだって(笑)。


・・・・でもさー。結局それってまさに「教育」じゃない。

優しいとか気を遣うのが教育ではないし、
弟子達も、ときには「絶対そっちが間違ってる」
って事を言われたとしても、恐ろしくて師匠には逆らえない。

だけど、芸能の世界に飛び込む覚悟と、
あまたいる噺家の中から、自分の師匠に「自分が」惚れ込んで
弟子になったわけだから、辛抱もできるってモンよね。

そして10年、20年後に、「あの時厳しく指導してくれた」
師匠への感謝の気持ちに繋がるわけだ。


サラリーマンも、落語の師匠みたいに
上司が選べればいいのに・・・。

日本の会社って、よく「会社への忠誠心」を指標にしたり
するけど、そんなのアホくさい。

自己保身に必死で、仕事もツカえないし、尊敬できない
上司の下で働いて、「忠誠心見せろ」なんて
無理に決まってんじゃんね? 

「他人に惚れ込まれるような上司」になる努力もせずに、
「俺に従え」はないだろーよ、っていうのが、下で動く人間の本音。

私も、一流のビジネスマンにはなれない(ならない)けど、
せめて、自分の周りのわずかな人にだけでも「この人に
ほれた!」と言ってもらえるような人間になりたいな。

私もそろそろ、社会の中では「教えてもらう立場」から、
「教える立場」になってきてるからね。

「例えいっとき憎まれても、正しい事をきちんと教えられる人間」

にならなくちゃ。

・・・・かな~~~~り難易度高いことだけど。

金曜日, 2月 06, 2009

正直に生きてる?本当に??

おいおい。大丈夫かよ・・・・。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090205-00000002-diamond-bus_all

闘争心ゼロ。別に出世に興味なくたっていいけどさ~
タネナシ君なんじゃないの?(侮辱)

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あんな前編でブツっと終わられたら
観るしかないでしょう。

で、行きました。「チェ 39歳別れの手紙」

前も書いたけど、基本は史実なわけですよ。
盛り上げの音楽とか、言葉の飾りつけ(「衝撃の!」みたいな)
は一切ないわけで、それはつまり、延々とゲリラ戦で
ジャングルの中をさまようシーンが続くわけです。

観ているほうは、最終的にゲバラがボリビアで死ぬことは
分かっているので、変な言い方かもしれないけど
「いつ死ぬのかな?」と思いながら観てる感じ。


でも、こういう「何もしない」という演出が、
結局はゲバラの心中を一番正しく描くための「演出」
って事なのかもと、後編を観ててようやく分かったりしました。

テレビなんかで、普段過剰なまでの飾りつけ(音楽から、映像から、
最近はテロップまで)を見慣れてると、本当に想像力が
どんどんなくなっていくからね。


それにしても、やっぱり凄い人だった。ゲバラ。

最終的に、国をまとめる役割を担ったのはカストロだけど、
人間って結局ひとりが「パーフェクト」になる事は不可能で、
それぞれの持つ「智」を、最大源発揮できる組み合わせの人と
出会えるかどうかが、人生を充実して生きれるかのキーなのかもね。

ある意味、ゲバラ云々よりも、

「なんか面白いことないか」といつも人に楽しませてもらおうとしてる人、

「あいつのせいで○○だよ」と、いつも人のせいにしてる人、

「あの店員ムカツク」と、いつも手厚いサービスを当然と思ってる人

が、観るといい映画だと思う。反省するよ。

ゲバラのような偉人でさえ、
ゲバラのように波乱の人生を送った人でさえ、
現実はこの映画のように、
淡々と、粛々と、過酷に、流れてゆくのだと思います。

世の中って最終的には、

 誰かが守ってくれたり、
 誰かが分かってくれたり、

する場所ではないんじゃないかと。

・・・・って、ドライかな?

でも一方で、終盤ゲバラが政府軍に捕獲され処刑される間際に、
見張りの若者とキューバの宗教の話になって、
「おまえは神を信じるのか?」と聞かれたゲバラが、

 「俺が信じるのは 人間だ。」

と答えたのが、とても印象的でした。

ボリビアの革命は、ボリビアの民が外国人であるゲバラを信用せず、
「みじめな生活を変えよう!」という気概もなかったために
失敗したといわれているので、
そのうえで吐かれたこのゲバラの言葉は、本当に重い。。


まーつまり、

 自分の「精神」にいかに正直に生きているか?
 という事を、常に“芯”にしておかないといけないナ

って事が言いたいわけですよ。私は。


分かりやすい映画ではないけど、
きっと得るもののある映画だと思います。

ぜひ。

火曜日, 2月 03, 2009

「英雄」ってなに?

毎週見ているわけではないんだけど、
何故か気になるNHKの語学講座「リトルチャロ」。

チャロは日本に帰れるのかしら?

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「チェ 28歳の革命」を観てきた。
ゲバラ役は目で女をイカす男、デル・トロですわ(笑)。

まー実際“目でイカす”かどうかは置いといて、
甘い中にどこか影を持った面差しで、
お芝居も上手いし、私は好きな俳優です。

そういえばヒュー・グラントとかも「甘いマスク」繋がりだけど、
私はあ~いうの嫌いなんだよねー。
なんか綺麗にまとまってすぎっていうか。結婚詐欺師にいそう(笑)。

ていうか、私はラテン顔が全般に好きなので、
NHKの「イタリア語講座」の人とかも大好きなんだけどさ。
もちろんバンデラス、超好き。


・・・って、話がそれました(笑)。
映画の感想を書こうと思ったのに。

この映画は2部作になってるので、
先週公開された後編(「チェ 39歳別れの手紙」)を
観ないと話が終わりません。2部作映画でも、
「一応1話だけ観ても“まとまった感はある”」っていう
映画が多いけど、これは本当にブツっと終わります。
後味悪いとかっていうより、ちょっと悲しくなります(苦笑)。

映画の内容は、ご存知の通り「キューバ革命」を題材に
したもので、映画としての脚色やエンターテイメント性は
ほとんどなくて、ゲバラがカストロと出会って
革命に傾倒していく辺りをスタートに、かなり史実に基づいている
(実際、当時の映像がかなり挟み込まれる)ので、
ジャンル的にはドキュメンタリー映画だね。

デル・トロが主役だから、勘違いしちゃうけど。

実際、私はもっとゲバラの生い立ちとかから
追いかけていく作品なのかと思ってたので、
最初はちょっと面食らった。


まず大前提として、ゲバラの知識が「Tシャツのアイコン」って
だけで観に行くと全然面白くないと思う。

私もNZにいた当時の色々な出会いから、社会・共産主義とか、
宗教を軸にした歴史みたいなものに興味を持って、帰国後に色々本を
読んだのでなんとなく分かったけど、歴史の前後関係とか
キューバの背後にある「米ソの関係」みたいなものとかを
掘り下げてわかってないので、
全体を俯瞰して理解するのがすごく難しかった。結構頭使います。

ゲバラはキューバ革命のキーパーソンだけど、
本人はキューバ人ではないし、彼は「キューバ」というより
「中南米の」人たちの幸せを願った人です。

キューバ本国ではもちろん、彼は世界中で英雄視されてるけど、
(カッコイイしね(笑))、個人的には・・・どうなんだろう?と
思う部分もあったりします。

もちろん、罪のない人を傷つけたりはしないけれど、
彼がもっぱらのゲリラ戦による武力革命遂行者であった以上、
ものすごい数の「人殺し」をしているわけだしね。。。

や。すごいよ。
すごい人なんだけどさ。


この映画を観てると、ゲバラは20~30代の最も精力的な時期に、
戦いに明け暮れて、「自分の進む道に関して迷いや葛藤はなかったのかしら・・・」
とか、すごく考えたりします。
彼もひとりの人間だし、絶対「あいつムカつく」とか
「やっぱこれは辞めようかなー」とかあったんじゃなかろうかと(笑)。


・・・そういうゲバラの「人間性」にせまったところが
もっとあれば良かったのですが、いずれにしても、
そっち方面の世界史に興味があるなら、
観たほうがいい映画だと思います。

観る前に、ゲバラやカストロ、キューバ革命辺りの
最低限の知識は入れていったほうがよいかと。
じゃないと、2時間かなり厳しいものがある。

あ、あと社会主義とか共産主義って?というところもね。
ソビエトや北朝鮮の印象が強くて、日本ではどうしても「アブナゲ」な
イメージがあるコミュニズムだけど、あれはあれで非常に筋の通った主義だし。
今は、その主張を“どう実現していくか?”っていう、
そっちのほうに問題があるってだけでね。


*ゲバラが来日した時に、「日本は(広島・長崎で)あんな
ひどい思いをさせられたのに、なんでアメリカの言いなりなんだ」
って言ったって話は有名だけど、ある意味そういう
“曲げない姿勢”は、アメリカ一辺倒の世界観が崩壊しつつある
今になってキューバを助けてるのかもって気もします。