木曜日, 2月 24, 2011

定点観測の喜び @志の吉独演会

昨年、新卒で私の部署に配属されたものの2ヶ月で辞めた女のコが、
とある深夜番組に新人ADとして出ているらしい
(実は、同期のコ達がエレベーターで話してたのを
 盗み聞き(笑)して知ったんだけど)。

たった2ヶ月で退職。普通なら怒るところカモですが、
それを知って、何より「おー。頑張ってるんだな!」と思った。

なんか、やっぱりできるだけ「好きな事」でがんばって欲しいじゃん?

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昨年、忘年会で独演会に行けなかった時に(悔!)、
1年以上続いてた「月イチ志の吉」の流れが崩れてしまってたんですが、
ようやく復活です。やった~


立川志の吉『八重洲独演会<其の25>』

・狸鯉 (談春弟子:春樹)
・花筏
--仲入---
・茶の湯


もう25回目か! すごい~。
ここまで定点観測した噺家さんは過去にいないので、
毎回見る目が、観客というよりもはや「母目線」(笑)。

今回は、開口一番の前座さんもとても上手だったー
(前も書いたかもだけど、談春の弟子は本当にレベルが高い。
 師匠がいいのか、環境がレベルの高い弟子を集めるのか、
 師匠の知名度ゆえに、場数を踏むチャンスが多いからなのか・・・
 理由は色々だと思うけど)


しかし志の吉君! いやはや! 上手くなっている!
絶対に上手くなってるよ。この1年、「仕事の幅がかなり広がった」と
自分でも言ってたから、持ちネタも増えて急激に腕を上げてるんだろうなー。

たくましくなってゆくー(笑)。


1本目の「花筏」は私は初見。
最近、相撲ネタが世間をにぎわせているからというチョイスだったんだと思う。
マクラの時点で「相撲もの」をやるだろうなーという予感はあったけど、
「花筏」とは意外でした。「千早振る」とか、もっと軽い噺に行くかと思った。


2本目の「茶の湯」は、噺自体の完成度が高くて、
笑いが多くなる話です。


 # 郊外で隠居生活を始めたご隠居。何か風流な趣味を持ちたいと、
 # 「茶の湯」をやる事にした。小僧の定吉を相手に茶を立てるが、
 # 知識のないご隠居の知ったかぶりのお手前で、できあがったお茶は
 # とんでもない代物に。
 # そんなお茶でも、お茶うけの羊羹目当てにご近所や職人連中は
 # 通ってきていたが、菓子代が嵩んで羊羹を辞めた途端、訪問者は激減。
 # そんな折、蔵前在住時代の知り合いが訪ねてきて・・・・


本人も高座のマクラで話していましたが、
歌舞伎を「漬物」に例えるなら、自分の話は「マクドナルド」だと(笑)。

典型的な古典でも、ある種「バタ臭い」というか、
イマドキのやり方で話してしまうので、玄人はだしのベテラン落語ファンには
「芸が荒れてる」と言われる(笑


・・・まーでも、きっとご本人も分かってると思うけど、
私は全然それでいいと思う。

同世代でも、実直に古典をやって絵になる人は他にいるし(三三とか)、
だったら志の吉君は、「マクドナルド」で突き進めばいいんじゃないかと。

SMAPの歌じゃないけど、何か関して「Only one」になるって
実はとても大変だよね。

Only Oneっていうのは、要は周りに見本がいないわけだから、
きっといつでも「これでいいのか?」っていう自問自答の繰り返し。

だけど、結局はそうやって試行錯誤することでしか
オリジナリティーを出したり、前には進めないし、

「一見遠回りしているようなやり方が、
 結局は一番の近道だった」

というのは、どんな人の人生でもよくあること。


ここ数年、苦手意識のある廓噺なんかを
積極的に高座に上げていた志の吉君ですが、
個人的には、その積み上げがようやく開花してきているように感じます。

すごいなー。刺激になるなー。

今回は、素直に「楽しい独演会」でした。


志の輔門下初の真打が出る日も、もうスグそこっ!

*次回は4月21日(木)。

水曜日, 2月 23, 2011

敗退こそ成長(の、はずっ!)

ニュージーランドの地震が心配です。。
地震大国の日本も、他人事ではないですよね。

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外岩3回目@兜岩。

城山の天候が怪しかったため、急遽、山梨の兜岩へ。
トポにもルートが乗っていないので、
どんなところかは全く未知数です。

・・・と言っても、私はどこだってほぼ100%未知数だし、
「じゃー知ってれば登れんのか」っていう話なんだケドさー(笑)。

というわけで、今回の戦跡を。
・・・本当は大変お恥ずかしい結果なので書く気しないんですが、
私の“岩歴”の1ページとして、包み隠さず以下に記しておこう。


ちなみに!
チョー言い訳ですが、前日のアルコールが
結構残っていたことは否めません。
(まーでもコレも、前日に飲む自分が悪いんだけどもね)。

****

※以下、ルート図がないので名前は相当曖昧。。


●アプローチ約30分
ここでまず、地味に体力を消耗する(笑)。

●エイト環での懸垂下降トレ

 ↓↓

●「目覚め」(5.10b)
「なんで最初から10b?」と思ったあなた! ・・・そうです。その通りなんです。
これが諸悪の根源でした(苦笑)。懸垂下降の練習用にとTRをつけた壁がこれだったので、
下降の練習ついでに登ってみるか・・・なーんてバカな事を思ったが最後、
私の実力ではまったく歯が立たず、半分辺りで完全にストップ。

ここで正直、1日の半分の体力を消耗してしまいました・・・。
バカなことをしたとつくづく反省・・。

 ↓↓
●「二度あることは三度ある」(5.8)
ここでようやくなんとか1本完登。クライミングらしい事ができました。
それでも、ジムの5.8よりは数倍難しい(私には)ので、
かなりの えっちらおっちら ぶりです。





 ↓↓
●「※ルート名忘れた・・・※」(5.9)
5.9ですが完登ならず・・・。
終盤のオポジションのやり方が全然わかんなくて泣きそうになってました。
なんせ体の使い方が下手なので、一度パニクると
もうどうにもならなくなっちゃうんですよ・・。

ここで完全に心が折れてしまい、「今日は人の登りを研究しよう!」
というモードになりました。
こういう心の折れ方って久々。頭の中で音がしたもんなー。「ボキッ」って(笑

一緒に行った人が、「こんなの登るの!?」という壁をスルスルと
登るのを見ながら、ひとり圧倒的な敗北感を味わっていたのでした。。(トホホ・・・)



■今回学んだこと

・とにかく、少しづつ重心を移すムーブが下手。ココ、今後の重点課題です

・オポジション系の動きが全然ダメ。これはジムで練習できるところが
 少ないので、感覚を身体に覚えさせるしかなさそう。

・1本目にいきなり実力を大幅に超えたルートに取り付かない事。
 出だしですべての気力を削がれる(苦笑)。

・「帰りにパフェ!」とか、ちゃんと小さな目標・目的を持って取り組む。
 でもパフェじゃ私の「にんじん」にはならないケド(笑)。

・そして、前日は絶対に深酒しない(この失敗は登山でも何度かやってる。
 本当に私って学んでナイのだな・・・)


帰路のお風呂からの景色も絶景で、楽しく充実した一日でしたが、
風呂上りに飲んだCCレモンが、何故かホロ苦かったのは気のせいか?
(ううっ。。。)。


今のところ、一緒によく登らせてもらう人の中では
私が際立って下手なので(笑)、教わることが多い反面、
ヘコむというか、哀しいというか・・・・。

・・・いやいや!
気をとりなして・・・・ また練習だ。


てゆーか、身体軽くしなきゃだよ!!!(笑)。


*前日の諸悪の根源。
 だって~・・・滅多に頂けないじゃないですかー(←超言い訳)

月曜日, 2月 21, 2011

ぶらり散歩⇒イエ飲み、のち イエ落語。

「文芸春秋」買った。

話題性を出すための受賞だという感は否めませんが、
今回の芥川賞は、久々に気になる賞レースでした。
読みたかったのは、当然 西村 賢太 氏のほうですが(笑)。

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家飲み好きです。

根っからのオーガナイザー体質(笑)なので、
おうちに人を呼ぶのも好きだし、友達のうちで
ノンビリ一杯も大好きです。

経済的なメリットも去る事ながら、
いろんなつながりの人を気軽に呼べる楽しさがあるし、
時間を気にせずゆっくりできるのがイイ。

まーあえて言うなら、リラックスしすぎて
ほぼ100パー飲みすぎるって事がデメリットかと(苦笑)。

そんなわけで今回は、いつもの落語仲間と、
趣向を変えたイベントを企画(内輪では「落語部部活」と呼んでいる)。

*****

まずは、いつものメンバーで浅草周辺の「落語ゆかりの地」を
めぐる「ぶらり散歩」。

オノボリさん風情で雷門前に集合しましたが、
実はメンバーの半分は東京生まれ。
そして残りも関西から東京に移り住んで20年以上・・・という顔ぶれですが、
何はともあれ楽しきゃいいんです(笑)。


雷門前

浅草寺

テプコ浅草館

本法寺「はなし塚」

吾妻橋


つい先日大改修を終えたばかりの浅草寺。
私が浅草に通っていた10数年前は、観光地と言えども
閑散としてた浅草だけど、今はスカイツリー効果か賑やか!





改めて見ると、門の横にナゾの老人のレリーフがあったり、
スカイツリーと五十の塔の位置関係が分かったりと、
よく知ってる場所にもわりと発見があるモンです。

ちなみにおみくじは「吉」。
友達は「半吉」なんてーのが出て、どっちが上かでまー揉める揉める(笑)。


「テプコ浅草館」は、浅草や下町の歴史をつづった
展示物や蔵書がある小さな博物館。
大変地味な場所ですが、無料のわりにはナカナカ楽しかった!
3Fにある蔵書を眺めてたら、たぶん1日時間を潰せます。
もちろん、落語ゆかりの本もたくさん。






そして、本当は吉原があったエリアを回りたかったんですが、
時間切れのため断念し、本法寺の「はなし塚」へ。

戦時中の落語界では、色っぽい話や笑いの多い話は、
「時勢にそぐわない」と封印されていた悲しい時代がありました。

そんな「話せなくなった噺」を祀ったのが「はなし塚」。

小さな小さな塚があるだけですが、
入口には著名な噺家の名前がズラリ。
小さんが!円蔵が!志ん生が! ・・・落語ファンならテンションアップ確実!(笑)。
1度は訪ねるといいかも。





そして、吾妻橋を渡ってナゼか私の実家へ・・・


最後はナント「イエ落語@実家」です(笑)。

実家の上に、もともと叔母が華道を教えるのに使っていた
小さなお座敷がありまして、当初はそこで鍋でもやろうかなんて話だったんですが、
落語部メンバーの中に、趣味が高じて実際に落語をやっている人がいて、
じゃーついでに、もっと人を呼んで「高座」もやっちゃおう!なんてことになり・・・。

そこで私の根っからのオーガナイザー魂に火がつきまして(笑)、
めくりから座布団、出囃子音源など準備万端!

関東風おだしでお鍋をいただきつつ、
「時うどん」と、2席目は周囲のムチャ振りによる「義眼」を
楽しみました(関西出身の江戸落語家なので、噺も方言も関西仕込み)。

その人は、多趣味でどれも玄人はだしという典型的なエンターテイナーで、
若手前座よりよっぽど安心して聴いてられる高座なんです(笑)。


気軽に仲間が集まって、こんな風に落語が楽しめるなんて・・・・

う~ん。これって結構贅沢かも!?

若干飲みすぎた感はありましたが、
なかなか心に残る「部活動」なのでした。


*この亭号でググっても出てきませんけどね(笑)。

木曜日, 2月 17, 2011

「マッチ売りの少女」が照らすのは・・・

今年も恒例、フジの早割り発売開始。
今年は通し参戦できそうもないので購入は見送りですが、
コレが来ると、春の訪れを感じる。

嗚呼・・・ また、夏がやってくるんだな・・・・。

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最近、定期的にお芝居が観れてとても嬉すぃ。


『マッチ売りの少女』 @高円寺
作 :別役実 
演出:松本修 
出演:大崎由利子 山田美佳 中田春介 福士惠二


 # 雪の降る大晦日のある日、とある町に住む
 # 初老の夫婦のもとに見知らぬ若い女性が訪れる。
 # 女は言う。「私、あなたの娘です」・・・・


帰りに食べたモツ鍋が大変美味でした~。
フラリと入ったけど、わりと有名な店らしい。

・・・という、どうでもいい話は置いといて。


言い訳するわけじゃーないですが、難解なお芝居です(笑)。
別役実の作品なんで、まあその辺は仕方ないにしても。


ただ、「分からない」=「ツマラナイ」にならないところが、
こういうお芝居の面白さだなとは思う。

登場人物は4人だけ。初老の夫婦、娘と名乗る女、そしてその女の弟。

単純に筋だけ追っちゃうと、「知らない女がいきなり押しかけてきて、
『自分はあなたの娘だ』と言い張ったあげく、金切り声で騒ぎ出す」
という、極めて「ヤバイ人」の話になっちゃうのだけど(笑)、
いくつかレビューを見て、ようやく理解した。

この作品、初演は1966年なんだね。

まさに学生運動華やかなりし頃、別役実もわりと政治活動に傾倒していた
人だから、そういう社会の混沌を、童話の中でもとりわけ救いのない
「マッチ売りの少女」をメタファーにして描いたんでしょうね。


「善良な市民の代表」という風情で登場する初老の夫婦ですが、
夫のほうは、時々女に「あの事は、黙っていてあげるから・・」なんて
耳打ちされたりして、裏のある感じ。

悲哀に満ちた人生を歩んだ少女もまた、
実は貧困の中マッチを売りながら、
その炎で自身のスカートの中を照らし・・・

というあたりが、すべて直球ではなく「ニュアンス」で
表現されているので、観客の想像でどーにでも解釈できるようになっています。


でもきっと、すごーく平たく言えば

「善とか悪とか、正とか誤とか、
 明確に定義付けられる事なんてあるの? 見た目だけで分かんの?」

っていう事を問うているんだとは思うけど。


・・・芸術にせよ、音楽にせよ、洋服にせよ、イデオロギーにせよ、
何故か私は60~70年代モノに強く惹かれるんだよね。

もちろん、だからといって私はコミュニストでもないし、
特定の政治活動をしたこともないし、だいちあまり政治の事は知らない(笑)。

なんというか、あの時代の空気が生み出す、どうしようもない渇望感に対して
憧れに似た感情があるのかも。「革命」という言葉にグっとくるというか。
今ってそんな風に、何かを「もがき苦しむほど欲する」ってことはないもんね。


ああ~・・・ 平和だなー。現代って。

ま。色々問題はあるけど、「平和」はやっぱりスバラしいのだけどね。


会場になった「座・高円寺」はナカナカ素敵な劇場でした。
このお芝居はもうすぐ終わっちゃうけど、結構イイ舞台がかかってるので
また観に行きたいなー
(私って見たい、行きたい、やりたいが多い。300歳位まで生きないと時間が足りない)


* レピッシュの「おやすみ」って歌の歌詞の元ネタが
 この戯曲だという事が今回分かった。上田現ちゃんらしい引用だ。
http://listen.jp/store/artword_1147505_55116.htm

月曜日, 2月 14, 2011

文字の力 デザインの力。

週末に川崎のニンニクたっぷりで有名な
某ラーメンを食べたら、
翌日ジムで大量にかいた汗がニンニク臭・・・。

うへーー、どうか私に寄らないで!(笑

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もともとそういう約束があったこともあるけど、
この連休は私的には「2月のLazy Weekend(笑)」と決めていて、
CD整理したり、本読んだり、見たいもの見た。

そう決めてたら、この荒れ模様ですよ。

山の予定組んでたらさぞガッカリしたな。
ぬははは・・・カミサマは見てるわ(笑。

おかげで、ituneのMacからWinへの移行&整理がだいぶはかどった~。
昨年末にMacが死亡寸前になった時に慌ててデータを引っ越したんだけど、
「とりあえず」ブチ込んだ感じだったので、サッチモの次にAphex Twin、
みたいなイラつく順番になってたりして、「もー見なかった事にしたい!」
状態になり続けてたんで(苦笑)。

やー 満たされた。


そして、そんなわけで、シロガネーゼの空気には全くなじめませんが、
開催前から楽しみにしてたこちら↓へも。

20世紀のポスター[タイポグラフィ]
@目黒庭園美術館




この美術館は、建物に入るだけでも楽しいから大好き!

今回は「タイポグラフィ」、つまり「文字」を主役にした
ポスターを集めた展示会です。

仕事柄というか、社会人になる前から、
「商業アーティスト」的な人が好きでした。

横尾忠則、レイモン・サヴィニャック、神坂 雪佳…
あ、ウォーホルも好きですよ。

まあ…そのあたり線引きが難しいけど、要は「自分の発想を絵にする」
というよりは、「人から与えられた課題を料理する」
方向でアートする人が「商業アーティスト」っていう定義 かな?


ポスターって、実際問題ほとんど「文字」が主役なんですよ。

だって、ポスターは絵画と違って必ず何かを伝えるために
存在する訳で、「○月○日にこれをやりますよ」とか
「こんな商品ができましたよ」とか、そういう事を、できるだけ
たくさんの人に広くインフォメーションする役割のものだからね。

そんな「ポスターの究極のキービジュアル」とも言える「文字」を
前面に押し出したポスターばかりが、年代別にズラーッと100点以上。

何がすごいって…「文字」ですもん。ほかの要素はほとんどないんですもん。

配色と配置(バランス)。それを追及して追及して追及しつくして、
初めて「カッコイイ」ものができるって感じ。

写真やイラストがないぶん、まったくごまかしが効かない。

展示作品は海外のものも多いから、何が書いてあるかまでは
分からないんだけど、「文字だけでココまでできるんだ~!」
って驚くほど多彩なデザインのものがあって、ゆっくり見て回る
価値は十分にありました。


個人的に特に興味があったのが60-70年代辺り。

私自身があの時代のカルチャーが好きっていうのもあるけど、
あのころは、いわゆるヒッピーカルチャー全盛で、
タイポグラフィとしては、アールデコっぽいグニャグニャの
線を使った文字(ビートルズの「ラバーソウル」のジャケ文字
っていえば分かりやすいかな)が流行ったんだけど、
あの文字って、もはや「読ませる気がない」んだよね(苦笑)。

どの時代のポスターも、どんなに文字を切り刻もうとひん曲げようと、
ポスターの根幹である「可読性」は保ってるんだけど、
あの時代の文字だけは、「相当頑張らないと読めない」域になってる(笑)。


なんか、世の中が混沌としていたあの時代を象徴してるみたいで
ああやってほかの年代と比べてみることで、すごく印象深かった。


…広告的な世界でデザインやライティングをやってる人の多くは、
「自身の作り出すものがしょせん使い捨て」である事に
ジレンマを感じる時期が一度はあると思うんだけど、
ああいう展示会を見ると、裏を返せば

「その時代を最も象徴する世界観を切り取る」

のが、広告でありポスターの仕事であるわけで、
それはそれで、イイ事してんじゃないかな~

と、思う(と、自分を鼓舞する(笑))。


わりと会期が長いので、あったかくなったら
庭園散策とセットでいかがでしょ。


*ポストカード、いっぱい持ってます。

木曜日, 2月 10, 2011

夫婦の愛?妻の復讐?

時々会う飲み友達が離婚した。
本人とはまだ話をしてないけど、共通の友人によると、
その人は元旦那が、顔を見るのも嫌なくらいキライなんだそうだ。

何があったのかは分からないけれど・・・
一度は好きになった人を「顔も見たくないほど嫌いになる」
っていう感覚って、実はよく分からないんだよな。。

「好き」ではなくなっても、感謝の気持ちや想い出を共有した感情は
残る気がするんだけど・・・・ うーむ。そういうモンじゃないのかー。。。

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時間が取れずに映画ペース落ち気味ですが、
どうしても観たかったので出かけてきました。

『キャタピラー』
監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ、大西信満 他

 # 赤紙で召集され、戦地に赴く夫の久蔵を見送る妻のシゲ子。
 # やがて負傷した夫は帰ってくるが、その姿は、四肢を失い
 # 顔の半分が焼けただれた無残な姿だった。
 # 世間から「軍神」とあがめられながらも、
 # 自ら動けず、言葉も話せず、耳さえ聴こえない夫との
 # 壮絶な「日常」が始まった・・・



戦争映画は大嫌いです。

戦争するくらいなら、私は自分が死んでしまいたいし、
日本がどこかの属国になったっていいって思ってる。

だから、目を背けてはいけないとわかっていながら、
正面から戦争を扱った映画(人と人が殺しあう場面がたくさんある)
は滅多に観ない。

でも、その「側面」を主題とした映画は何故か結構観てしまう。
なんでだろ・・・・? 観れば虚しくなっていくのは分かってるのに。


この作品、昨年主演の寺島しのぶがベルリン国際映画祭で賞を獲ったことで
話題にはなったようですが、正直メディアに大きく
取り上げられた印象はなかったと思う
(私はTVをほとんど観ないので確実な事は言えないけど)。


観て その理由が分かった。 壮絶すぎなんだよ・・・。

正直言って、以前「ゆきゆきて神軍」を観た時のような、
映画館を出てしまいたい衝動が湧き上がってきて、
とてもじゃないけど「寄ってらっしゃい、観てらっしゃい」的な
広告はできないだろうな と。。。


四肢を失いながらも生還し「軍神」となった夫を、献身的に世話する妻・・・
の構図は、この説明だけだと『美談』とも聞こえちゃうけど、
実はこの話にはサイドエピソードがある。

夫は戦地で現地の娘をレイプし、その最中に爆撃を受け手足を失ったのだ。
直接それが説明されることはないけど、チョコチョコ挟まれる
回想シーンが示唆している。
そして、四肢を失い、もはや「ただのカタマリ」と化した夫は、
かつては妻を殴り、蹴り、「石女(うまずめ=子供を産めない女)!」と罵倒していた。

それでも、たくさんの勲章を受け「軍神」と祀られる滑稽さ・・・。


監督の若松孝二氏はピンク映画の出身。
だからというわけではないかもしれないけど、
作中、性を扱うシーンがたくさん出てくる。

結局、人間の本質は「そこ」なんだという事を痛烈に描いている。

ピンク映画出身の監督は何人かいるけど、共通するのは、
映画を作る原動力が「怒り」の情念なんだろうな・・ってこと。

人って、社会に対してこんなに「憤る」ことがあるんだ。。。

・・・そのエネルギーは、すごいと思うと同時になんだかとても恐ろしい。
映画を観ていると、その怒りがジワジワ伝わってきて怖くなるというか。
それは、私が女だからなのかもしれないけど。


結局はこの作品にあるのは、

「戦争に正義なんてない。あるのは「殺し合い」だけだ。
 見ろ。これが戦争だ。絶対に忘れるな!!」

っていう、非常にシンプルかつ強烈なメッセージで、
こういうテーマを扱った作品は他にも、ある。

だけど、ここまで壮絶な形でそのメッセージを伝える必要があるのかな・・・・・




・・・・いや。あるな。あると思う。


描かれているのは目を背けたくなる光景だし、美談とは程遠い、
人間のどろどろした本質や欲望を前面に出した世界観だけど、
そこまでしないと、現代のように生ぬるい社会には
その「声」は浸透していかないのかもしれない。


はっきり言って、
とても、とても、後味の悪い映画です。

でも、「そんな映画、観たくない!」と思う人であればあるほど、
観るべき映画なのかもしんないけど

月曜日, 2月 07, 2011

2週連続で同じ場所へ行く運命なのか@菅平

昨年6月に亡くなった叔父の形見分けで、
落語のDVDを大量に頂いた。

還暦直後に亡くなった叔父さん。
あと10年は元気だと確信してたから、
一緒に落語を観に行くのなんて、いつでもできると思ってたのに・・・。

叔父さんのことを思い出しながら、
ひとつずつ、じっくり観させてもらうね。

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昨夏には2週連続で箱根に行ったり、
忘年会の時期には3週連続で恵比寿に行ったり、
日常的にはあまり縁のない場所なのに、何故か偶然連続で
同じ場所に行く、という事がここ1年多いのだけど、
今週も「たまたま」連続で菅平。

こないだはスノーシューで「滑らない雪」を満喫したけど、
今回は「滑る雪」・・・要はスキーです(笑)。


学生のツアーよろしくバス旅行だったんですが、
昔は体力でカバーできてた部分(夜行で明け方現地着とか、
安い代わりにゲレンデからエライ遠いペンションとか)を、
少し値段を上げてラクにするあたり、私らもオトナになったな~ ・・と。

当時は「いかに1円でも安く行くか」にこだわっていた気が(笑)。


私にとってスキーは「青春時代」と完全にリンクしているので、
ゲレンデでわりと、同時期にスキーを熱心にやっていたと思われる人の姿
(ウエアとか、当時流行の板とか)を見ると、なんというか、
胸がキュンとします(わ!乙女っぽい!(笑))


特に菅平って、上信越が更埴と繋がってなかった頃は
すごく行きにくい場所だったし、合宿のイメージが強いので
スキーヤーのレベルが全体的に高くて、しかも平均年齢が高め(笑)。
そしてオシャレさゼロ。

まーある意味、私的には「居心地のいい」スキー場なのです。

バラエティに富んだコースはないけど、雪質もいいし、
コースの横幅が広いのですごく開放感あるしね。

しかも2日間お天気も最高で、一番標高を上げるリフトに乗ると、
先週は見えなかった左側に遠く北アルプス連峰を一望。

「嗚呼・・・。今あの山に登ってる人が何人いるんだろうか・・」と、思いを馳せつつ。

一緒に行った友達は山をやらないので、地図上の「野口五郎岳」を
発見して爆笑してました。ああ~ 私も山を始めた頃、爆笑したした(笑)。


あれだけ行っていたスキーもここ5~6年はすっかり
ご無沙汰になったけど、それでも年に1度はなんだかんだで
行けるチャンスがあるんだから、ありがたい話です。


しかし・・・・ゲレンデといい、高速道路といい、
10年前では考えられないほどすいているのには驚き。

2月の最盛期にコレだもんな。。ありがたい話なんだけどさ。

若者の車保有率が激減してるなんて話をよく聞くけど、
こんなところでも、そんなことを実感します。

遠からず、経営の厳しいスキー場が淘汰されていく時代が
やってくるんだろうな~。。。

ザウスが無くなった特に感じたような「私の青春が終わった感」を、
今後もスキー関連では感じ続けるんだろうな、と 思います。

(「君の青春はとっくに終わってるからっ!」というツッコミは不要ですので
 あしからず。私は生涯青春なんだ! 4649哀愁!)


*15時過ぎ、沈む夕日をバックに。
 ん~ このすきかたはどうだろう。。

金曜日, 2月 04, 2011

「宙ぶらりん」に耐える。

東西線に、ひとり超ご近所ノリな若者車掌がいて、
アナウンスがかなり素敵だ。

「次は○○駅~ ○○駅です。・・・寒い日が続きますが、
 今朝はようやく春めいてまいりました。季節の変わり目で
 風邪が流行っているようですよね。皆様もくれぐれもお身体に
 お気を付けて、本日も気を付けていってらっしゃいませ。
 次は○○駅~」

とか言うの。隣のオバチャンかっ!

でもこの車掌の電車に当たると、何故かサワヤカな気持ちになるのは
きっと私だけではないハズ(笑)。

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今年はわりと長らく続いた新年会モードもようやく終焉。
それを待っていたかのように、2月からなんか仕事が忙しくなり・・。

ホントいやだわ~。

私は生活の中に、意図的に「何もしない/誰とも会わないタイム」を作るほうで、
そういう時間がなかったら、(たとえ楽しかったとしても)精神的には追い立てられるし、
定期的に自分を見つめる時間がないし、色々なところでパワーが発揮できないな~。


・・・なんてことを思ったのは、こんなのを読んだからでして。

『本質を見抜く「考え方」 』
中西輝政 著

あら、前職絡みの出版本だわ(笑)。
図書館で借りたので、いま気が付いた。



個人的には「考える」という作業がわりと好きです。

そもそも、編集やマーケティングの仕事をやりたいと思ったのだって、
「この商品をより魅力的に見せるにはどうしたらいいんだ?」って事を
考えるのが好きだからだし。

昔から、たまごっち(古っ)やドラクエなんかの流行りモノが出ると、
それ自体は欲しくないけど、なんでこんなに大勢の人が
こんな些細なもののために、高額のお金を払ったり、深夜から並んだりするのか・・
っていう、ロジックのほうに強い興味があった。

マ、20歳の乙女の頃(そんな時代もあった)から、理屈っぽいっつーか
説教くさいところがあったって事なんだけど(笑)。


・・・まあ、「考えよ!」っていうメッセージの本て、
自己啓発本とかビジネス書にはよくあるわけなんだけど、
この本で面白かったのは、

「シロクロつかない状況に耐えなさい」

ということを言ってるんだよね。

このスピード重視のご時世、ビジネス書なんかだと、
「惑うことなく、見切り発車でも決断だけはスピーディに行うべし」
という理論を立てるものが圧倒的に多いんだけど、
この本はそこが違うので興味深かった。


確かに私は、今でこそだいぶユルくなってるけど
本質的には江戸っ子にありがちな超せっかち君で、
「・・・・で、どっちだよ!」という状況に耐えられずに、
とりあえずその時決断した方向に進んで、あえなく自爆・・・・みたいなことがよくあった(笑

でも今思い返せば、モノによっては、もっと「宙ぶらりん」の状態を
耐えるべきだったなーとは思うよね。仕事であれ、恋愛であれ、人間関係であれ。


なんか、日本の社会の中ではダラダラと決断を
先延ばしにするのって「悪」だと思われてるところがあるし、
「宙ぶらりん」ってわりとシンドイじゃない?

だけど確かに、そういう「どっちつかず状態」を我慢できる力がある人が
一番心の強い人なのかもしんない。パっと見、『デキル』感じには見えなくても。

これは、いたずらに結論を伸ばせって事ではなくて、
私なりに解釈すれば「「間」を身につけろ」って事のような気がするな。


スポーツでもビジネスでも、もちろん日々の生活の中でも、
「間」の使いこなしが絶妙な人っているよね。
思った事、やりたい事をすぐ口にするんじゃなくて、
自分なりに考えた後に、ここぞ!ってところで、ドーンとアウトプットできる人。

そういうタイミングをつかむ力に長けてる人って、人を惹きつけるし、
応用力があるから何をやっても上手くこなせたりするしねー。

元からそういう人なのか、訓練の結果そういう人になったのかの
違いはあるにせよ、そういう人ってやっぱりスゴイと思うし、学びたいな。


・・・でも、「耐える力」って「人間のフトコロの深さ」と同義だからなー。

一度「アイス食べたい!」とか思うと、次のSAまですら待てない
チっさい私には、まだまだ長い修行の時間が必要そうだ・・(苦笑)。


ともかく。

「多数の意見=正しい意見」でない事だけは確かなので、
日常の些細なことについても、常に自分なりに「考え」てみるとよいと思います。
人間を育てるいい訓練になりますよー。

「考える」事ってなんの道具もスキルもいらないし、第一タダだしね(笑)。