木曜日, 10月 15, 2009

大人の胸キュン

混んだ電車でひとつだけ席が空いた時、
小学生くらいの自分の子供にその席を譲る親は、
「子供への愛情が強い」 と 言えるのか……?

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秋の夜長は映画っすよ。

今回は、エリック・ロメール「恋の秋」

ロメール監督の四季シリーズ4部作は、
これでようやく全部、ちゃんとシアターで観た事になります
(実は「冬物語」は、だいぶ昔でほとんど覚えてないけどね)。

で。「恋の秋」。

もーねっ!
待ってました!って感じ。

ロメールの恋愛映画は私の肌に合う。

恋愛映画をほとんど観ない私の心にも、
しっかり響いてくれる。

 フランスのぶどう農園で、ひっそり暮らす
 変わり者だけど快活な女性、マガリ。
 既に夫はなく、2人の子供達もひとり立ち済み。
 日頃は元気だけど、心に寂しさを持っている彼女を心配する
 親友や、息子の恋人が、マガリのボーイフレンド探しに奔走する。。。

というのが話の概要。

でね。

このマガリがいいんですよ。
40代のこの女性の生き方に
とっても共感できる部分が多い。

自立した素敵な女性なんだけど、
自分が寂しいという事にはとっても素直。


親友が紹介してくれるのは、自分が身代わりになって広告を出した
結婚相手募集の記事に応募してきた男性なんだけど
(欧米の映画ではよくある)、なかなかいい感じの人が現れたわけ。

で、その親友は、二人を「改めて紹介する」んじゃなくて
自分の娘の結婚式に二人を呼んで、
自然に引き合わせようとするの。

 *外国のガーデン式の結婚式って、
 *どっちかっていうと「週末のホームパーティの豪華版」みたいな感じで、
 *結構、新郎新婦を直接知らない人もよく参列したりするんだよね。
 *ちなみに私もNZに住んでる頃、そういうタイプの結婚式に
 *2度程出た事がある(1組はどちらも知らない人)。


そんな二人の出会いを見ているとね、
なんだか高校生みたいなの。

40代のマガリのピュアさに比べ、
彼女の息子の恋人(たぶん20歳位?)は、
逆に大人びてるというか
こまっしゃくれたところがあるから、
その対比が、実に実にヨイのです。

マガリは、大人になって
「1周回ってピュアになってる」感じとでも言うのか。

「あ。この人いいカモ」とお互いに直感で思っているのに、
自分の言葉を素直に出せなくて、ついクールを装ってみちゃったり。

でも、ロメール(というかフランス文化)特有の
ウィットに富んだ哲学的な掛け合いは健在。

まあ、元々は親友がダマして二人を引き合わせたわけで、
それが元でちょっとゴチャゴチャしたりするんだけど、
結局最後は「幸せの予感」を示唆して終わります。

で、これがいいんだけど、ラストは
特に熱い抱擁やキスシーンがあるんわけじゃない。涙もない。
誤解が解けて、二人の気持ちが近づいた後、
実は男性のほうは先に帰ってしまうんだけど、
「一緒に行かなくていいの?」と聞く親友に、マガリは

 「いいのよ。縁のある人なら、きっとまた会うわ。
 それに今日の私、あんまり魅力的じゃないもの」

とか、言うわけ。

キャ~っ! すてきだ~~!

急がない。
虚勢を張らない。
でもちゃんと恋の駆け引きはする。

大人だー。

南仏の小さな田舎町のお話だから、
洗練された服も、オシャレなレストランも
バリキャリおねーさんも出てこないけど、
とにかくなんとも言えないあったかさ。


・・・・マガリもそうなんだけど、思えば私も、
今まで「この人に会わなければ良かった。あんたなんか不幸になれ!」
みたいに終わった恋愛ってないんだよね。
いっとき恨んだりしたことはあっても。

それってつまり、今となっては縁のない人であっても、
「しなきゃ良かった恋愛」ってナイ という事なのかな と。

そう考えると、やっぱり生きるエネルギーとか、
人間を豊かにしてくれる学びの場として、
「恋」というのはとても大切な要素なんだよな、と思うわけですよ。

私は「恋がしたい」のであって、
「付き合いたい」わけではないので、
「居心地の悪い人と無理に一緒にいる」のは嫌だけどね(苦笑)。


とにかく「大人の胸キュン映画(笑)」です。

女性の共感が多いだろうけど、監督は男性だからね。
きっと男性も、頭の中がバラ色(エロなほうじゃなくて)気分に
になれると思います。

DVDもあるし。ぜひ!

1 件のコメント:

ゆっきー さんのコメント...

オー懐かしい!!!
つか シアターで観たということは
リバイバルしてるのか??

・・ユーロスペース・・
なぜか いつも見逃しちゃう映画館じゃないか凹

フランス映画は
女が年をとることに拍手をくれるね。

秋です。
恋をしてください。
つか もうしてるの?