木曜日, 11月 25, 2010

苦しくも美しい「“壁”の向こう側」

「キンシノ」その8、行ってきました。
皆勤賞継続中~。
志の吉君はナント「火焔太鼓」。
あの場所で!そのネタを!?

ある意味すごいチャレンジャー。

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心に漠然とした迷いがある時に、映画や本を乱読(乱観?)するのは
私の10代からの性癖だという気がする。

あまり人に相談したりしない人なので、
本や映画から抜け出しのヒントを得たいんじゃないかと。
自立してるといえば聞こえはいいが、つくづく可愛げナイなー(笑)。

というわけで、また映画を。


『ベルリン 天使の詩』
フランス、西ドイツ合作映画(1987年)
監督:ヴィム・ヴェンダース

 # 寿命というものがなく、長きに渡り地上を見守ってきた天使達。
 # しかし、サーカスで空中ブランコに乗る女性に想いを寄せる天使カシエルは、
 # 永遠の命を放棄し、地上に降りる決意をし・・・


いやー 情緒的。 とにもかくにも情緒的な映画でした。

台詞(というより、キャスト達の心の声)が非常~に多い映画で、
映画というより、詩の本を読んでいる気分になります。
映像は、途中に挟まれる挿絵のように世界観を広げる「脇役」というか(笑)。

映画はほぼ2/3まではモノクロで、天使カシエルが地上に降りた瞬間から、
画面はカラーに変わる。「時間」や「色彩」の概念がない天使の世界からの変遷が
ある意味とても分かりやすくて、美しい。

この映画は、なんといっても壁崩壊前のベルリンで
撮影されていることに意味があるんだと思う。

ベルリンの壁は、天使の世界と人間界を分断するメタファーにもなっていて、
「どっちが素晴しいか」ではなくて、どちらの世界にもそれぞれ複雑な感覚が
渦巻いているんだ ということを言いたいんだと思う。


印象的なのは、地上に降りたカシエルと元天使が出会うシーン。

「元天使」はこの地上には結構いて、天使達は、争いや憎しみや死のない
天使の世界から、限りある時間と、痛みや苦しみが存在する人間界に
自ら選んで降りてきたわけで。

・・・結局、痛みや苦しみがあったり、限りある時間だからこそ、
この世は魅力に満ちていて、素晴しいモノなんだという事なんでしょう。。


私は数年前にベルリンで「壁の残骸」を実際に見てきたけど、
とても複雑な気持ちになったのを今でも覚えています。
「パワースポット」って言葉があるけど、逆に「アンパワースポット」
って言葉があるんだとしたら、ベルリンの壁周辺は、まさにそんな感じ。

20代以下の人は違うだろうけど、私には「ベルリンの壁」は
まだ“歴史”ではないからねえ。。。
壁によじ登った東ドイツ市民が(東ってところがポイント!)
壁をブチ壊すニュース映像は今でもよく覚えてるよ。

でも物理的な「壁」は崩壊したけど、その後、本当の意味での
東西ドイツ統一に、未だにドイツは苦しんでいるんじゃないかと。
(でも、ドイツは大好き! また何度でも行きたい国です)

今回の天使だって、その後何十年にも渡り、地上に降りた
自分の選択が「正しかった」と思い続けられるかなんて分からないしね。

一度築かれた「壁」は、一夜のうちに崩壊できるほど
単純なモノではないんだろうな。


泣いたり、憎んだり、苦しんだり、嫉妬したり、恐れたり、傷付けたり・・・・

そういう、自分の持っている「負」の概念に、
いかに正面から向き合っていくかという事こそが
「生き切る」という事なんだとしたら、
天使の世界は、確かに「生きている」とは言えないもんね。


うーん。。。。
人間が生きるってなんて大変なんだ。まったく(笑)。

*「天使」といってもオッサンなんですどね。

1 件のコメント:

はかせ さんのコメント...

この映画、2~3回レンタルで借りたのだけど、毎回、冒頭部分で寝ちゃうんだよね。