木曜日, 11月 11, 2010

“絶対に”抜け出せない絶望。

デール・カーネギーの「人を動かす」はビジネスパーソンの必読書だけど、
こないだ取材した方がこの本の話をしてて、私も全く同じところで
納得したので、妙にシンパシーを感じた。

いわく、

 『人は、自分のためにしか動かない。』

・・・ホンマやで(笑)。

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えーが。えーが。

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」
監督:大森立嗣
出演:松田翔太、高良健吾、安藤サクラ

 # 施設で兄弟のように育ったケンタとジュンは、はつり(解体業)の
 # 仕事をしている。劣悪な労働環境、先輩の執拗ないじめ等の中から
 # 抜け出すため、先輩の車をブチ壊して逃亡する二人。そこには、以前
 # ナンパしたブスでおつむの弱いカヨちゃんも付いてきて・・・


嗚呼・・・・ また救いのない映画を観てしまった(苦笑)。
何故か、こういう退廃的な映画ばかり選んでしまうな。。。

日本に限った事ではないけれど、
人生ドン底からスタートしてしまうと、
もうそこから抜け出す事はほとんど不可能なんだよ。

「地道な努力を重ねれば、必ず報われる時が来る」・・・・?
「小さな徳を積んでいれば、誰かが必ず見てくれている」・・・・?
「黒人のスラムからヒーローが生まれるような、アメリカンドリームがある」・・・?


・・・・違うでしょー。そう、思いたいけどさ。
それはあくまで、「そういう環境にいる人」の話。

救いのない人もいるんだよ。何をやっても。
それはもう、絶望的なまでに。

この映画でも、主役の3人が学がない事を描くシーンが
何度も出てくるけど(八戸を「はちど」と読んだり」)
結局は、教育(=学校ではナイ)の問題はとてつもなく大きいんだと思う。

この映画では、ケンタの兄(同じ施設で育ち、傷害事件で網走にいる)が物語的に重要な
意味を持っていて、そういう社会の最底辺にいる人達が向かう先は、

「人生に諦めて廃人になってしまう」
 か、
「壊しても壊しても抜け出せない人生に苛立って、はけ口を“死”に求める」

か・・・・・ なんだよね。はっきり言って2択。

なーんの救いもない。生きるって辛すぎる。


でも・・・・「見ろ!これが現実だ!」という事を、
これでもかと見せ付ける映画でした。

映画という“エンターテイメント”に、夢やロマンを感じたい人は
観ないほうがいい映画だけど、映画としてはとても意味のある作品
だったと思います。邦画らしいといえば、らしい。

ちなみにこの映画、キャストが個人的に結構いいです。

・松田優作の息子
・奥田瑛二の娘
・宮崎あおいの兄
・そして監督は、なんと大森南朋のオニーサン

と、実は「親兄弟の七光り」と言われかねない
俳優がたくさん出てるんですが、それぞれ存在感あったなと思う。

二世俳優は七光りを受けてる分、辛口に評価されちゃうところがあって大変だけど、
やっぱり二世ならではの「血筋」があるからこそ、いい役者になっていくのかな。

「トンビは鷹を生」まないけど、「蛙の子は蛙」なのだなと。


松田翔太は、お兄さんの龍平よりも父親の持ってるあの独特の「狂気」を受け継いでるね。
まー、「白い犬の義父」ができちゃうくらいだから、お父さんよりも洗練されてるけどサ(笑)。

今回、作中にかなり「松田優作を意識した演出」があって、そこはちょっと
作戦すぎて個人的にどーかと思ったんだけど、それは本人というより監督の問題だからなー。

でも、まだまだこれからの監督さんなので、
これからの作品も楽しみです。


てか、安藤サクラさんですよ。

奥田瑛二と安藤和津の間に生まれて、ナゼ・・・・。

や、モノスゴーイ将来性のある役者だと思いましたけどね。
すっかり好きになりましたけどね。
ちゃんとすれば、ちゃんとした娘さんなんですけどね。

でも、ナゼあの容姿。。。

うーむ。
「遺伝子の不思議」を感じずにはいられません(笑)。

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