木曜日, 11月 18, 2010

フランス流の「起死回生」

先日、知り合いのオウチの「芋煮会」にお邪魔した。
なんというか、心があったまる味だった。

・・・・東京生まれ、東京育ちで両親も東京出身の私は、
いわゆる「郷土料理」みたいなモノがないんだよ。。

ふるさとのある人って羨ましいな。

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寒くなってきましたねー。
日照時間が短くなると、気分が塞ぎがち(科学的にも立証済み)。

てなわけで、せめて賑やかな映画で。

「オーケストラ」
監督: ラデュ・ミヘイレアニュ

フランスの映画ですが、主な舞台はロシア。

 # 共産主義全盛期のロシアで、天才指揮者がユダヤ人の楽団員を
 # かばったためにボリショイ楽団を解雇。劇場の清掃員として30年の日々を過ごす。
 # ある日、楽団の理事の部屋を清掃中、パリからのオ-ケストラ
 # 招聘依頼のFAXを見つけ、彼はかつての仲間を集めて、自分達が
 # 憧れのパリで「にせボリショイ楽団」として演奏することを思いつき・・・


基本的にはコメディなんですが、そこはフランス。

米国風の「ガッハッハ」という笑いではなく、
エスプリの利いた「ニヤっ」という笑いです。

個人的にはこういう映画、好きだな~。


かつての楽団の仲間達はみんな苦しい生活を強いられているんだけど、
明るく生きている。

自分の気持ちに正直で、苦労してパリに行っても
演奏そっちのけで金儲けしちゃったりして全然ダメな人たちなんだけど(笑)、
その思いの「芯」の部分に揺らぎはない。

あの時代のロシアやヨーロッパの文化や社会情勢、
あとはフランスが諸外国からどんな風に「憧れられていたか」が
分かると、もっと楽しく観れたと思うんだけどね。

それに、コミュニズムって難しいしさー。

ヒトラーやスターリンは論外だけど、共産主義というイデオロギー
自体が悪なわけではないので、その辺りの解釈もしっかり
理解できてないと、本当の意味でのこの映画の深さ・面白さは分からないのかもしれない。

欧米の映画を観ると、「政治」と「宗教」の歴史的知識は、
映画の面白さを理解するためには必須だなーと思ったりします。


物語はとても単純で、最後は、寄せ集めのニセ楽団がパリで
公演を大成功させるという、ある意味お約束のラストなんだけど、
このラストのまとめ方がすごくいいっ!!

物語のもうひとつの軸として、主役の天才指揮者が、
パリの若手バイオリンソリスト、アンヌ=マリー・ジャケとの
共演を熱望し、その背景には、かつてこの二人の間に運命の出来事が
あり・・・・というエピソードがあるんだけど、ラストシーンでは、
言葉でなくて、演奏と、その間に挿入される、その後の楽団の成功の様子を
描いた映像を挟むことで、この二人の間の距離が一気に縮まった様子と、
幸せなラストを予感(あくまで“予感”)させる終わり方になってるんだよね。

なんていうか、ラストにまったく無駄がない。

劇的なオーケストラの演奏終了=ラストなので、
エンドロールが出ると、「ああ~。楽しかったなー」と、
観客がすぐ余韻に浸れるんですよ。

私は映画は(よっぽど嫌いじゃない限り)エンドロールまで観る派なので、
心地よい余韻がポイント高かった。

あと、「イングロリアス・バスターズ」でいい味出してた
メラニー・ロランがとてもいいよ。
全体的に痩せぎすで幸薄そう系なのに、何故か目がいってしまう女優さんです。
ケイト・ブランシェットみたい。


「一度どん底まで落ちた人達の再起のサクセスストーリー」

って、よくあるっちゃーよくあるんだけど、
こういうテーマが観る人に元気を与えるのは間違いないわけで、
それをどう描くかという観点で言えば、私はヨーロッパ的な
感覚が自分に合ってるなと思う。
再起のストーリーでも、どこかに湿っぽさが残るというか(笑)。人間らしい。

クラシック、いいねー。

クラシックは全然分からないけど、
思わず帰ってクラシックに浸りたくなる映画ですヨ。

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