水曜日, 10月 20, 2010

こぶ平に学ぶ、「王道に近道なし」。

月イチの「仁鍼堂」
もうすぐ1年になるけど、月1回でも体質の変化を確実に感じます。
劇的な変化はなくても、風邪やアレルギーへの耐性はかなり上がった。

なんでもそうだけど、じっくり・しっかりと時間をかけて
コツコツと構築したものは、長持ちするし、強いなと思う。

“ホンモノ”に近道なんて、ないね。

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自分で選ぶ時は決してチョイスしない落語会に、
母親のお誘いで行ってきました。


【しんきん寄席 @曳舟】
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林家たこ平  「厄払い」
林家しゅう平 「宝塚パロディー(?)」
 ---仲入---
林家英平    ※マジック
林家正蔵   「悋気の独楽」
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噺家の側から言うと、いわゆる「営業興行」ってヤツです。
地元の信用金庫組合が合同で、普段懇意にしていただいている
お客様をご招待する・・・っていうやつですね。

下町の中小企業っていうのはわりと信金との関係が強いところが多いけど、
私の実家も商売をやってるので、ご多分に漏れず
信金には「いいお客さん」てワケで、その絡みでのご招待です。


今回、やっぱりお客さんのお目当ては正蔵でしょうね。

逆に言うと、それより前の3人は、
個人的にはちょっと「うううううう~~~ん」。

ミュージカルさながらの歌やマジックは、あまり落語とは言えず、
普段落語に親しみのない人はいいのかもしれないけど、私的には若干消化不良。


そんなわけで、正蔵ですよ。

正蔵は、ご存知 元「こぶ平」。
こぶ平といえば、爆笑王・林家三平の息子ってことで
海老名家の長男として、若い頃からTVに出てましたよね。

でも落語の世界では、若くして落語をおろそかにして
映像メディアに露出したこぶ平は、どちらかというとキワモノ扱い。

関西のお笑い系噺家(さんまや鶴瓶など)同様、
真摯に噺に取り組むことはないだろうなと思っていました。

でも10年前くらいから、テレビへの露出を一気に減らし、
かなり噺家としての修行を積んでこられたみたいです。


落語の世界では「正蔵」という名前は大名跡。
それこそ、お父さんの「三平」に比べると格違い。

・・・私は、どちらかというと「こぶ平」時代の芸が荒れたイメージが強いので、
彼が正蔵を襲名したときは、正直「えー!そりゃないだろ!」と思いました。
(余談ですが、ドラマ「タイガー&ドラゴン」の阿部サダヲ演じるダメ息子は、
 明らかにこぶ平がモデルですよ・・・ね?(笑))


でも・・・・今回、噺を聴いてイメージが変わりました。

うまいんですよ。ちゃんと。10年きっちり修行したんだろうなー。
前の3人で物足りない気分だったのでその影響もあるのかもしれませんが、
それを差し引いてもちゃんと上手い。

演目の「悋気の独楽」は、

 # お妾さんの元へ嬉々として通う旦那に嫉妬した女将さんが、
 # 小僧に旦那の後をつけさせ、様子を探らせると・・・・

というお話なんですが、女将さん・若いお妾さん・旦那・小僧と、
年齢もタイプもまったく異なるキャラクターが出てくるのでわりと難しい噺だと思います。

こぶ平・・もとい、正蔵のような人は、どうしても
女性キャラの“らしさ”が出ずに苦労する傾向がありますが、
意外にも違和感なかった。
ま、色気ムンムンのお妾さんに比べれば、
嫉妬に燃える女将さんのほうが板についてたけどね。

ま、最近は男性のほうが嫉妬心は強かったりもするので、
このお話も、男女が逆転してもリアルかもしれないね(笑)。


噺家はまったく生きる世界の違う人だけど、
人の成長を見るのって楽しいし、何より刺激になるね。

こぶ平時代のメディア露出も決して無駄ではなかった。
あれがあるからこそ、芸の深みが増すのかもしれない。

何をするにも「始めるのには遅すぎる」なんてことはないんだなー。

私もガンバロ!


*こぶ平時代から比べるとだいぶ痩せてた。

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