金曜日, 10月 15, 2010

過酷な現実に現れた“プレシャス(宝物)”

前に友達の家に遊びに行った時に、
トイレに貼ってあった百人一首の一句

「田子の浦に うち出でてみれば・・・・」

が、ナゼ「田子の浦ゆ」ではないのかが
気になって気になって、かれこれ1ヶ月以上気になっている次第。

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なんか久々かもね。映画。
秋だし、映画観よーっと。もっと。

「プレシャス」
監督:リー・ダニエルズ


 # 母親の虐待、父親の性的虐待、中学生で実父の子を出産、学校からは退学処分・・
 # ハーレムで不遇の人生を送る16歳のプレシャスが、
 # フリースクールで読み書きを学び始めたことをきっかけに
 # 人生の新しいステージへと進んでいく・・・


期待していたものとはちょっと違った。

これ、アメリカの映画なんですけどね。

なんていうか・・・・、こういう映画って、
日本人には結構難易度高いんだと思う。

社会の中である意味「暗黙の了解」として存在する
差別や貧困の土壌が、日本とアメリカではあまりに違いすぎるんだよね。

ハーレムの今も続く黒人の過酷な生活の現実、
主人公プレシャスが両親から受ける過激な虐待、
プレシャスの体型(あそこまで太るのは、日本人には至難の技でしょう)、
中学生で妊娠しても中絶しないという事実(これは、経済的な問題に加え
宗教的なものも大きいのだと思う)

・・・・変な表現なんだけど、そういうベースの部分があまりに
“カッ飛び過ぎて”いて、どーも琴線に触れてこないというか。


余談だけど、私はジャズボーカルをやっていて、
当然ジャズはブラックミュージックなわけだけど、
Summer timeとか、日本人には死んでも歌えないなー とか思うわけですよ。

それと同じような、「・・・・や。無理」って感じを、この映画にも感じた。
実際、アメリカの人たちはこの映画をどう観たのかしら?(特に黒人の人) 興味あります。


この映画も、アメリカらしく最後はわりと決着をつけるエンディングになってて、
壮絶な人生のプレシャスにも手を差し伸べてくれる人がいて、話の終盤には
自分に手を上げる母親もまた、苦しい精神状態にあるひとりの人間であることを
知ったプレシャスが、「本当の愛を知る」・・・という感じで終わるんだ。

でも・・・・なんていうか、すっごい消化不良なんだよ。

プレシャスは、実父の子供を2人産んでいて、
最終的には母親とも絶縁。

精神的には大きくステップアップしたわけだけど、
「で、どうなるの?」的な感じで、すごくザラっとした不安感が残る。

アメリカの映画として、なんとしてでもラストを
強引に「心温まるラスト」として作り上げた・・・という感が否めない。

・・・いいとか悪いとかっていう評価ではないところで観ると、
さすがアメリカ、飽きさせない演出が随所にあって
映画として完成してるなー とは思うんだけど、
個人的にはとにかく最後まで、「あれ? あれ? あれれ・・・?」っていう、
チョイずれ感を持ちながらの2時間でした。


重い社会問題や政治をテーマにしたアメリカの映画は、
結構見方が難しいね。。。

欧州の映画のほうが、ダメなものは徹底的にダメなまま、
「救いようない~~~」って感じのまま終わったりするので、
正直私はそっちのほうがしっくり来る。


だって、現実の社会ってそうだからね。

頑張った人には、ちゃんと結果が付いてくる・・・・わけじゃないのが現実。
頑張ったって、ドラマも、感動も、ご褒美も、なーんにもない時はいくらでもある。

だけど私は、「そういうものだ」と思っているし、
だからこそ人生には、2つ目・3つ目のチョイスがあっていいのだと思うし。

アメリカとヨーロッパでは、映画に求めるものが
根本から違うんだなーって改めて感じました。


・・・こういう映画を観ると、私は「セカチュウ」ノリのお涙確定映画が嫌いだけど、
映画というのは色々な種類のものを観ておいたほうがいいなと思ったりもするね。

なんであれ、本や映画から「作者の感性を受け取る作業」は
それだけで楽しかったり、学べたりするね。

3 件のコメント:

かつを さんのコメント...

田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける

ですな。実際に山を知らないで山を語ると痛い目に遭う。そんな感じでしょうか?(笑)

かつを さんのコメント...

田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける

ですな。実際に山を知らないで山を語ると痛い目に遭う。そんな感じでしょうか?(笑)

ヨヨ さんのコメント...

かつ さん>

> 実際に山を知らないで山を語ると痛い目に遭う。
> そんな感じでしょうか?(笑)

この詩ってそういう意味なの!?
私、「外出たら超寒かった」ってことかと思った(苦笑)。

「痛い目に遭う」・・・ホンマや~。

雪崩、低体温・・必要な知識はしっかり身につけないとね。