火曜日, 4月 13, 2010

実は・・・初めてなんです(後)

さて。

順調に進んでいたかに見えた初・単独行ですが、
落とし穴はすべて下山時に凝縮されていました。

***

まず、下山直後にちょっと考え事を
しながら歩き始めたため、自分の進路に自信がなくなり、
5分程道を戻りました(結局合ってたんだけど)。

その時地図を見たら、なんだか地図の端っこが丸まっている・・・。

なんと。お昼にバーナーで地図を燃やしてしまったのでした。
ションボリー。

・・そして、その時すれ違ったことが縁で、
あるオジサンと話ながら降りたんだけど、
これが大きなトラップだった!(苦笑)


このオッサン、とにかく しゃべる しゃべる。

大げさじゃなく、ビックリするほどノンストップなんだよ。
息してんの?ってほどに。
私がひとりなので、話やすかったんだと思うんだけど。

あまりにノンストップなので、「私、先に行きますね」とも
「お先にどーぞ」とも言えず、しかも“会話”ではなくて
オッサンの一方的な体験告白なので、私は
「へー」「そうですかー」「なるほどー」「すごいですねえ」など、
あいづち用の単語を、私のボキャブラリーの引き出しから
出しまくってうなずくのみ・・・。


そしてココで私は、ある選択ミスをします。

下山後1時間、オッサンが前を歩いてたんだけど、
オッサンはしゃべりに夢中で巻き道(迂回路)に入っていきます。

実は私は、予定では巻き道ではなくて本線を
使うつもりだったんだけど、オッサンは話に夢中だし、
ま、最終的には同じところに出るからいっかと思って
私は、違う道に入ったことは知ってたんだけど、黙ってあわせました。

・・・・だってさー。

このオッサン(60代)の話、壮絶なんだよ。

 4年前に熟年離婚。自分は離婚したくないと嫁にすがったがダメで、
 ひとり暮らしとなった矢先、自分にガンが見つかり、一昨年に胃を全摘出。
 入院中には、唯一のよりどころだった18歳の飼い猫が病気になり、
 自分の退院と入れ替わるように他界。
 元々会社人間で、プライベートな友人がいないので、それ以降は、
 ひとりであらゆるところに出かけていて、今日の川苔山は今年20座目である・・・

と。

こんなタクシーの運転手バリの壮絶な告白を聞いてる途中に、
「あ!すみません。私ここで曲がるんで」
とか、さえぎれないつーの(苦笑)。
遮ったとしても、たぶん付いてきたね。あの調子じゃ。


結局、そのままオッサンと付かず離れずで下山。
途中、歩幅を変えて一時離れてホッとするも、前を行くオッサンが
倒木で迂回路ができてる道を間違えて
どんどん脇にそれてくので、さすがに私も黙ってられずに

「あの、たぶんそっちの道、間違いですよー」

と指摘した事が縁で再度合流(トホホ・・・)。


そしてその後・・・・・本線に戻るための道が、
なんと雪による倒木で通行止めになっていたんです!

結局、サブルートのままで
最後まで下山することに。。

このサブルート、下まで細道が続くため追い越しもできず、
またもオッサンと付かず離れず。。。

途中オッサンが、

 普段ひとり暮らしだから寂しいしさー。
 こないだ、山で若いお兄さんと会ってずっとしゃべってたら、
 お兄さんが「よくそんなしゃべって疲れないね!? ちょっと黙ってて!」
 って、怒られちゃったよ。ワッハッハ~。

という話をしだした時は、

「人に指摘されたことあるんじゃん!
 その“空気読めない”感じが、熟年離婚の原因じゃ?」

と、ノドまで出かかったよ(苦笑)。

・・・まあ、悪い人じゃない。
ないんだけどさ~。。。(><)


私は今回、ある意味山に「黙りにきた」感じだったので、
ああいう人もいるんだなー と。
おしゃべりしたいなら、山より別のところのほうが
友達見つかりそうなもんだけど。

結局、最後の30分位のところでなんとなく
休憩時間を調整してオッサンを振り切り、
ひと足先に私が鳩ノ巣駅に到着。

また会ったら大変なので、トイレもそこそこに、
立川行きの電車に飛び乗ったのでした・・・・

****

結局、登り下りのトータルタイムは、約5時間半。
モデルタイム通り。
登りの貯金は、下山時にほぼ使い切った感じです。

人のせいにしたかーないけど、
下山に時間がかかったのは、絶対オッサンのせいです。
そこは言っておきたい(笑)。


・・・・ま。
色々小さなトラブルもありましたが(笑)、
個人的にはほぼ満足の初ソロでした。


【今回分かったこと】

・単独行は「究極の自己責任」なので、
 心も体も両方トレーニングできる。

・最近は外国人登山者も多いので、
 わりと英語の勉強にもなる。

・山というのは、天候やルート以外にも、
 思いがけないトラップがあるものだ。
 例えばおっさんのおしゃべりとか。

・こないだ買ったアウトドア時計の標高表示が、
 実際とかなり違くてショック。
 デジタルなものを信じすぎるのはよくない。

・山の地図はコーティング加工されているので、
 火に近づけると、燃えずに丸まる。

・ひとりだと、色々な人から声かけられたりするんだけど、
 (登山者の中では)若い女性の単独行には、
 どーもふたつのイメージがあると分かった。
 
 それは、
 「熟練クライマー」か、
 「訳ありの寂しい女性」。
 
 私はそのどちらでもない(と、思っている)ので、少々居心地が悪い。
 マイノリティが生きづらい世の中よのお~。
 でも人の考えることが見えるってちょっと面白かった。

・壮絶な人生を送っているオッサンだが、先日諏訪に行った時に、
 樹齢1000年のケヤキの木をなでながら「長生きできますように」と、
 祈ってきたそうだ。
 そんな人生でも、長生きはしたいモンなのか・・・。ちょっと考えさせられるな。



・・・本格的な登山シーズンスタート。

今年も、頑張らず、人のためでなく、
マイペースでボチボチ登っていこうと思う。

5 件のコメント:

かつを さんのコメント...

>若い女性の単独行…

こ、これはツッコミどころなのか?^m^

>アウトドア時計の標高表示
どういうタイプの時計にしました?
気圧計タイプ?

気圧計タイプだと平地の標高に合わせると高地で誤差が出ます。
かと言って3000m級の場所で標高設定するとそれより低い日本のほとんどの山で誤差が出ます。

自分の場合は、経験から標高2000mの山でよく晴れた日に標高設定してます。
これだと1000m~3000mの山で誤差が少なくて済みます。
3000m以上の山だと、また少し誤差が出るけど十分満足できるレベルです。

あと、気圧計タイプだとその日の天候、気圧の変化で標高が変わります。
晴れていて高気圧に覆われて居れば標高は低く、雨の日で気圧が下がっていれば標高は高く表示されます。

例えば山中で小屋やテントに泊まった時に、夜寝る前に標高を確認しておきます。
翌朝、標高が下がっていれば天気は回復傾向、一方標高が上がっていれば天気が崩れる可能性があると判断できるわけです。

こんだけ書いて気圧計タイプじゃなかったらゴメン。。。

旧ヤハギ さんのコメント...

前言撤回だわ。
なんだ そのオッサン。
でも 熟年までは続いたということだな。
勇気が出ます<たぶん違う。

若くても
若くなくても(ケンカ売ってるか?これ?)
女性の一人はけっこう危険らしいです。
お気をつけください。
ま 
しゃべるだけの人でよかったです。

ヨヨ さんのコメント...

かつさん>

ポンジュース!
(↑ボンジュールみたいなモンだ。四国のキホン的挨拶)


>>若い女性の単独行…
>こ、これはツッコミどころなのか?^m^

だから「(登山者の中では)」って書いたじゃーん。

時計は気圧計タイプだった。
カシオのプロトレック。

だから、こないだはまさに

>晴れていて高気圧に覆われて居れば標高は低く、

という状態でした。
使いながら特性を覚えていくしかなさそうだね。


旧ヤハギさん>


>ま 
>しゃべるだけの人でよかったです。

別に悪い人じゃないんだ。ホントに。
だからそれだけに、距離感が難しかった。
でも勉強になりました。

かつを さんのコメント...

あれ?
気圧計タイプだったら、任意の高度設定ができるはず・・・設定はまだしていないのですね?

ヨヨ さんのコメント...

かつさん>

> 気圧計タイプだったら、任意の高度設定ができるはず

設定できてない。
つか説明書読んでもイマイチ・・・(苦笑)。

今後精進します。