木曜日, 2月 17, 2011

「マッチ売りの少女」が照らすのは・・・

今年も恒例、フジの早割り発売開始。
今年は通し参戦できそうもないので購入は見送りですが、
コレが来ると、春の訪れを感じる。

嗚呼・・・ また、夏がやってくるんだな・・・・。

-------

最近、定期的にお芝居が観れてとても嬉すぃ。


『マッチ売りの少女』 @高円寺
作 :別役実 
演出:松本修 
出演:大崎由利子 山田美佳 中田春介 福士惠二


 # 雪の降る大晦日のある日、とある町に住む
 # 初老の夫婦のもとに見知らぬ若い女性が訪れる。
 # 女は言う。「私、あなたの娘です」・・・・


帰りに食べたモツ鍋が大変美味でした~。
フラリと入ったけど、わりと有名な店らしい。

・・・という、どうでもいい話は置いといて。


言い訳するわけじゃーないですが、難解なお芝居です(笑)。
別役実の作品なんで、まあその辺は仕方ないにしても。


ただ、「分からない」=「ツマラナイ」にならないところが、
こういうお芝居の面白さだなとは思う。

登場人物は4人だけ。初老の夫婦、娘と名乗る女、そしてその女の弟。

単純に筋だけ追っちゃうと、「知らない女がいきなり押しかけてきて、
『自分はあなたの娘だ』と言い張ったあげく、金切り声で騒ぎ出す」
という、極めて「ヤバイ人」の話になっちゃうのだけど(笑)、
いくつかレビューを見て、ようやく理解した。

この作品、初演は1966年なんだね。

まさに学生運動華やかなりし頃、別役実もわりと政治活動に傾倒していた
人だから、そういう社会の混沌を、童話の中でもとりわけ救いのない
「マッチ売りの少女」をメタファーにして描いたんでしょうね。


「善良な市民の代表」という風情で登場する初老の夫婦ですが、
夫のほうは、時々女に「あの事は、黙っていてあげるから・・」なんて
耳打ちされたりして、裏のある感じ。

悲哀に満ちた人生を歩んだ少女もまた、
実は貧困の中マッチを売りながら、
その炎で自身のスカートの中を照らし・・・

というあたりが、すべて直球ではなく「ニュアンス」で
表現されているので、観客の想像でどーにでも解釈できるようになっています。


でもきっと、すごーく平たく言えば

「善とか悪とか、正とか誤とか、
 明確に定義付けられる事なんてあるの? 見た目だけで分かんの?」

っていう事を問うているんだとは思うけど。


・・・芸術にせよ、音楽にせよ、洋服にせよ、イデオロギーにせよ、
何故か私は60~70年代モノに強く惹かれるんだよね。

もちろん、だからといって私はコミュニストでもないし、
特定の政治活動をしたこともないし、だいちあまり政治の事は知らない(笑)。

なんというか、あの時代の空気が生み出す、どうしようもない渇望感に対して
憧れに似た感情があるのかも。「革命」という言葉にグっとくるというか。
今ってそんな風に、何かを「もがき苦しむほど欲する」ってことはないもんね。


ああ~・・・ 平和だなー。現代って。

ま。色々問題はあるけど、「平和」はやっぱりスバラしいのだけどね。


会場になった「座・高円寺」はナカナカ素敵な劇場でした。
このお芝居はもうすぐ終わっちゃうけど、結構イイ舞台がかかってるので
また観に行きたいなー
(私って見たい、行きたい、やりたいが多い。300歳位まで生きないと時間が足りない)


* レピッシュの「おやすみ」って歌の歌詞の元ネタが
 この戯曲だという事が今回分かった。上田現ちゃんらしい引用だ。
http://listen.jp/store/artword_1147505_55116.htm

0 件のコメント: