水曜日, 5月 19, 2010

ヌーーーーヴェルヴァーグ

こないだ飲みに行った店は、
グルメな知り合いのチョイスなんだが、
予約の際に「ウチは酒屋母体の店なので、
来られる方全員がワイン飲めないと予約は受け付けない」
と、言われたんだそうです。

なんつー強気なっ!

・・・いいよ。いーんだけど。全員飲むから。でも ねー。

でも、すごい美味しかったので
まー文句は特にないです(笑)。

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基本、チェコ映画はなるたけ観るのです。
で、これ。

ひなぎく - Sedmikrasky -
監督 ヴェラ・ヒティロヴァ


1966年公開の、チェコスロヴァキア時代のチェコ映画です。
「チェコ・ヌーヴェルヴァーグ」
(なんてのがあったのね。フランスだけかと)の代表作だって。


・・・「ヌーヴェルヴァーグ」って聞けばお分かりかと思いますが、
全然分かりません(笑)。

基本、観念的な映画なので、
筋を追いかけようとして観る映画ではないことは確かです。

でも、ゴダールに比べるとひねくれてない気がするし、
何よりオンナノコはわりとこういうのが好きな人がいる。
私もそうだけど。

ギャルでもコンサバでもストリートでも森ガールでもゴスでもなくて、
キッチュでラヴリーでクールな感じ。・・・お分かり?

個人的には、ゴダールよりは「観ている人に歩み寄ろう」という感じがした。
「アメリ」を、ものすごーく分かりずらくしたバージョンとでも言おうか(笑)。


イェツィンカとヤルミラのふたりの姉妹が繰り広げるいたずら、
そして、おかしくも退廃的な世界観。

二人の姉妹の行動はいつも突然で、とても奇異なんだけど、
レストランのシーンなんかではそれに眉を潜める
「一般の常識人」がたくさん出てくるので、
そこが現実の世界(=なんでもありのフィクションではない)である事が分かる。


でも・・・なぜだろう?

周りの人に眉を潜められる二人の姉妹のほうが、その一般人たちより
「生きてる!」って感じがするし、なんか正しい感じがするんだ。

それは単に「好き勝手やってる」っていうんじゃなくて、
自分の心の中身を、すべて明け透けに人にさらけ出してしまってるから。
だから、単なる「エゴ」ではなくて、同時にすごく「危うい感じ」も
あるんだと思う。 


・・・しかし、60年代の共産主義下のチェコスロヴァキアで、
こんな映画が作れたって事自体が奇跡だ。

まー 案の定監督は、当時この作品を発禁にされて、
しばらく表舞台から姿を消していたらしいのだけど(苦笑)。


60年代の欧米で作られた芸術は、本・映画・音楽、
どれをとっても良質で、今でも十分通用するものが多い。
社会が混乱している時っていうのは不幸だけど、
アートにとっては決して悪い事ばかりじゃないよね。

よく、欧米の芸術はキリスト教を知らずして
理解できないっていう話があるけど、それは当然って気がする。

だって、誤解を承知で言えば
「アート=宗教」といっても過言ではないでしょ。

アートも、宗教も、結局は人が

 「救いと答えを求める場所」

なんだと思うよ。私は。

・・・と、30ウン年間、たくさんの
映画や本、芝居や絵画に触れた私は、
そういう事を、最近ようやく実感として思うのでした。


アートの理解は一日にしてならず。
漆塗りのように何度も何度も塗り重ねて、
ようやく、「自分なりの解釈」が見えるのがアートなんだね。


今度は一体、どんな作品との
出会いがあるのかしらー。

4 件のコメント:

旧ヤハギ さんのコメント...

漆塗り

首里城の修復をみたので
なんか スゴイ感が さらに高まりました。
ひどい環境(強い太陽光線と風雨)にさらされて
けっこう早くゼロに戻っちゃうところも
なんか無情な感じ。
人生なんてそんなモン。
でも それに時間や愛情を傾けるところに
意義がある気もする。

げんまみ さんのコメント...

私より、はるかにチェコ映画見てるよねぇ~!!
ちょっとYOUTUBEで見たけど、なんかかわいい映画ね。
ファッションとか、まさに60年代!
旦那のお母さんの若いときの写真みたい。

こんな映画があるなんて知らなかったわ~。
さっそくDVDを探してみよーっと。

ヨヨ さんのコメント...

旧ヤハギ さん>

> 人生なんてそんなモン。
> でも それに時間や愛情を傾けるところに
> 意義がある気もする。

分かります。
形あるものには終わりがある。
朽ちていくものに愛情をかけるのは
バカらしいと考えてしまうと、
「死」という終わりがある人間に
愛情を傾けること自体が「意義のない事」に
なっちゃうからねー。

それは寂しすぎ。
ていうか生きてる価値がないね。


げんまみ さん>

もーね。今や完全にチェコ映画ファンよ(笑)。
シュールでラヴリーで、でもフランスほど
「お澄まし」じゃないんだよね。

げんまみちゃんのおがけっす。

この「ひなぎく」って映画ね、
きっとチェコ語を勉強している人には
最高の素材になる気がする。

主人公の姉妹が話す言葉は、
「会話」というより、「単語」なの。

「やさしい」「悲しい」
「それ本当?」「うん、本当」

みたいな感じなの。
ストーリーはあってないようなモンなので、
楽しいかどうかは観る人次第だけど、
きっとげんまみさんは原語で観れると思う。
うらやましい~。

みえきち さんのコメント...

最近、実際的なものばっかりいかかずらわっていて、アートな世界に全然触っていないので、ヨヨさんのバランス感がいいな~

と思いました。

しかし、全員がワイン飲めないとダメな
お店すごいなぁ。