木曜日, 9月 03, 2009

感動しません。泣けません。 それが何か?

ピクルス漬けた。
うまーい。

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映画を観たので その話なぞ。

「英国王給仕人に乾杯」


チェコの映画監督、イジー・メンツェルの最新作です。

チェコに住んでいる友達がいる事や、
実際にプラハで見た文化への関心、
そして先日観た同じくチェコの監督
ヤン・シュヴァンクマイエルの映画が面白かったので、
ある意味「チェコもの」のリピートです(笑)。

物語は、再教育施設(まーようは政治犯なんかが入る監獄です)
から出てきたチェコの老人、小男ヤンの回想で進みます。

舞台の中心はドイツ占領下前後のチェコ。

この時代の中欧・東欧あたりは
東西の圧力がすごかったし、いわば“当事者ではない”
戦争の巻き込まれ方をしているので、どうしても苦労ネタが多い。

でも主人公ヤンは、「百万長者になる」という夢を土台に、
ラッキーあり、でもその後必ず不運あり、
数々の美女と出会って寝たりなんかもして、
でもってなんとなく、飄々と、小賢しく、
なのに波乱万丈に年を重ねていくわけです。

テーマは暗めなんだけど、全体としてヤンの人間らしい毒っ気と、
コミカルで明るい性格が、思わずクスっと笑えるシーンをたくさん作っています。


前にも似たような事を書いたけど、
日・米なんかの大作と、ヨーロッパのこういう映画の
一番の違いは、米は「プラス」の文化で、欧は「マイナス」の文化
なんじゃーないかなと。

制作費の違いもあるけれど、
音楽や演出をゴテゴテを付け足していくのが米流、
不要な要素をできる限りそぎ落として作品を作っていくのが
欧流って気がする。もちろん、そうやってカテゴライズできない
作品もたくさんあるわけなんだけれど。


話をだいぶ横道にそらしますが・・・・

カルチャーの話でいうと、
世の中の「主流(マジョリティ)」は、
いつの時代も経済力と政治力のあるものだと思うけど、
過去を振り返ると、時代は定期的にその主流に反発するものを生み出す。

60~70年代のカウンターカルチャーしかり、
日本なら安保後しかり、バブル崩壊後しかり。

反骨心に溢れて、独創性に富んでいて、
それでいて屈折してまとまりのない・・・・・ そんな文化。


ここ数年、以前ならB級と言われてしまいそうな映画が
ちゃんと表舞台に出て、多くの人に支持されるという
傾向が強くなってきている気がする。
前述の、「文化の定期的な反発期」が確実にやってきている。

今までのように「対権力」とか「対戦争」とか
分かりやすい圧力がないだけに、やや変化形の反発だなとは思うけど。


喜ばしい事だと思う。

今の世の中、
「心を健康にして」生きていくのはとても難しい。

だから、
「こう生きなければならない」という型もないし、
「これが正しい」というモデルも存在しない今、
本当に必要なのは良質なカルチャーと、それを積極的に
開拓し選択する個々の気持ち、なんじゃないかとシミジミ思う。

そうでもしないと、大衆性が高くて量産される
「受身専門」の文化・情報にどんどん毒されてしまうと思う。

それって主体性がなくなるという事で、
もっと分かりやすく言えば「分かった気になる」
というヤツで、そういう人が増えるのは
とてもオソロシイ事だということを自覚しておいたほうがいい。


そういう風に、自分が“日々、毒されている”と、
気付きすらしない人は・・・・

・・・・まー それはそれで、
オメデタイ人 って事で仕方ないですけど。

でもメイワク。

3 件のコメント:

ゆっきー さんのコメント...

じみーなへんな映画だったよね。
なぜか ロードショー中にシャンテで観ました。

げんまみ さんのコメント...

チェコ映画なんて日本でも見れるんだね~。
それにビックリだ。

この映画は2年位前にチェコでかなり話題になっていて、MIRAも見に行ってたよ。
チェコ映画なので、英語字幕なんかもなかったので、私は見ていないの。
チェコ語でそこまで理解できないからね。
DVDだったら英語字幕があると思うから、買って見てみるよ。

「テーマは暗めなんだけど、全体としてヤンの人間らしい毒っ気と、
コミカルで明るい性格が、思わずクスっと笑えるシーンをたくさん作っています。」

っていうところがかなりチェコっぽいね。

今でもチェコ人ってそんな感じ。

ヨヨ さんのコメント...

ゆっきーさん >
>じみーなへんな映画だったよね。

確かに地味。
中欧「らしい」映画であったとも言えるかも。


げんまみさん >


>チェコ映画なんて日本でも見れるんだね~。

日本で観られない映画はないんじゃないの?
ってくらい、どの国の映画もやってます。日本ってトコは(笑)。

ココにも書いたけど、前に観たヤン・シュヴァンクマイエルって
監督の映画がすごく面白くて(“面白い”っていうより、
興味深いといったほうが正しいかも)、以来結構ポーランド映画とか
チュニジア映画なんかを観たよ。
私的解釈ですが、彼の映画って音楽で言うとトランス。
しかもアンビエントっぽいというか、硬質な感じじゃなくて
ヌル~っとした感じなの。


>今でもチェコ人ってそんな感じ。

映画とか文化的なものだけで観ると、
日本人とチェコ人の国民性って似てる気がする。
Miraはもっと南国の血が入ってるけど(笑)。

あったかくて、でもどんより暗くて、シニカルで、
外の目を気にして、厳格で、シャイで、弾け切れない(笑)。

でもチェコは場所柄、地続きの東西の国から
何度も何度も抑圧されてきた歴史があるから、
その分チェコのほうが、忍耐力があって、
もっと深いところで「分かってる」感じがする。

日本はやっぱり島国だし、
ドーンと戦争に負けて、ドーンと復興したっていう感じだから、
そういう「積み重ねてきた」感じはしないよね。

上手く言えないんだけどさ。