水曜日, 10月 26, 2011

どっちの夫婦が、好きですか? ~立川志の吉独演会29

新聞で見た、トルコ大地震の救出の様子を写した1枚。
まっさきに思ったのは、

「あ、メットCAMPだ。」


…や、ダメだよ。
ダメなのは分かってるんだけどさ。

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落語続くな。
というわけでライフワークの独演会へ。


「立川志の吉独演会その29@八重洲」

開口一番 「道灌」
志の吉  「三年目」
 ---- 仲入り ----
志の吉  「火焔太鼓」



このところイイ高座をたくさん聴いちゃったからね~。
二つ目の志の吉君に、やや辛口な気分で臨んだ今回の
独演会でした。

2本目の火焔太鼓は以前も聴いたことあるんだけど、
相変わらずややオオゲサなアクションがちょっとな~(苦笑)。
もっと普通でいいのに。実力あるんだし。

1本目の「三年目」は、おぼろげに聴いた記憶があるんだけど、
志の吉君はネタおろしっぽかった。

 # 大店の若旦那と隣町の老舗の娘は、
 # ともにイイ男・イイ女なうえ、周りも羨むおしどり夫婦。
 # 
 # ところが女房が不治の病にかかり、「私が死んだ後、
 # 跡目となる女房が羨ましいやら悔しいやら・・」と嘆く。
 # これに対して若旦那は、「跡目なぞ取らない。八つの鐘が鳴る頃、
 # 幽霊になって出ておいで。幽霊でも俺はオマエに会いたいから」
 # と返し、これに安心したのか、女房はそのまま亡くなる。
 # 
 # 生前、女房に「跡目は取らない」と約束した若旦那は
 # しばらく一人身でいたが、周囲の「跡継ぎはどうする!」という
 # 叱責に負けついに再婚。新しい女房には目もくれず
 # 死んだ女房の幽霊を毎晩待ち続けるが、半年間女房は現れない。
 # 結局、その後新しい女房との間に子を設け、穏やかに暮らす若旦那。
 # 
 # しかしそれから三年。ある夏の晩に、ついに幽霊となって前妻が枕元に現れた。
 # 「何故いまさら。俺はずっと待っていたのに!」という若旦那に女房は・・・


枕でも話してたけど、落語の世界では夫婦と言うのは「喧嘩してナンボ」
というくらい、喧嘩している夫婦ばかり出てくるので、この夫婦は珍しい
例かもしんない。

この話、サゲは「髪が伸びるのを待っていた」というモノなのね。
(昔は女性が亡くなると、棺おけに入れる際に頭を剃っていたので、
そんな姿で大好きな旦那の前に出られないと3年間化けて出るのを待った ってことね)

惚れた男の前では常に可愛い自分でいたいという女心とか、
死んでも寄り添いたい夫婦愛とか、そういうのが前面に出
「あったかい話」という評価になってるんだけど・・・

私、この噺あんまり好きじゃないかも~~。


私は、映画や芝居を観てても、わりと脇役に目が行くタイプなんだけど
(まあ性格曲がってるんで(笑))、この噺の中でも、私が気になるのは
跡目でやってきた女房の存在。

旦那の心に常に別の女の存在がありながら、現実はその男の女房であり続けるわけで。
しかもその「女」は既に死んだ身。決して超える事ができないライバル。。

なんかさー。やけにモヤモヤするんだよ。こういうの。

そりゃー人って、長く生きてれば色んな経験するよね。
心の中には、忘れられない人・物・事がありながら、
普段はそういう存在を他者に知られることなく過ごす事って
たくさんあるわけだ。
というか、そういう事は「表に出さずに墓場まで持っていく」
のがマナーじゃないかと、個人的には思うんだよね。

だけど旦那のそういう存在を、新しい女房は「知って」いるわけで、
旦那は旦那で「結局後妻をもらうんじゃん」みたいな、
白けた想いが私の中にあるんだよねー。

名家では、兄が死んだらその女房と弟が再婚する、なんて事は
つい最近まで当たり前にあったわけで、時代背景を考えれば当然なんだけどさ。

なんてゆーか、釈然としないモヤモヤがー。


・・・恋愛とか結婚って、今の時代でもとても「崇高な事」として扱われる節が
あるけど、結局男と女なんて“そんなモン”なんだと私は思うんだよね。

「男と女は面白い」けど、それを
「特別な、他とは切り離された“彼氏”“彼女”な関係」
と捉える事に妙な違和感があります。
男と女だって「人間関係」の延長線上なんじゃないの?しょせん。

だからこそ、女と女・男と男の組み合わせがあったっていいし、
その関係は「二人」という単位である必要もないしね。


・・・まあだいぶ話がずれましたが(笑)、とにかく私の好みの噺ではないな~。

私は、2本目の「火焔太鼓」の夫婦のように、
「アホだバカだ」と女房が罵り、旦那が「あの女、いつか叩きだしてやる!」と
外で息巻いていながらも、結局は「連れ合い」でい続ける関係のほうが、
よっぽどリアルで、日常で、夢がなくて(笑)スバラシイと思うけど。


ま、こればっかりは好みの問題ですけどね。

でも、志の吉君の「三年目」に出てくる、女房の幽霊は良かった。セクシーで。
志の吉君はやっはり、女性と小僧が上手いな~(笑)。

次回はいよいよ30回。
何をやるのかな。楽しみ!

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