月曜日, 9月 13, 2010

物事の本質を見失わない人でありたい。

あの台風を境に、すっかり秋の香り。
ああ~ 今年もクーラーなしで乗り切った!

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夏は毎年そうなんだけど、
7~8月とスケジュールを詰め込んで駆け抜けてしまい、
本来の生活リズムが崩れてしまった(どれも超楽しかったんだけど)。

本来習慣としてやってた事を、横目で「・・・今日は忙しいし、マ、いいか」と
放り投げて自分を甘やかす日々が続くと、後で気持ち的に落ちたりとか、
ぶり返しがあると長年の“自分との付き合い”の中でわかっているので、
この週末は、遊びの誘惑に負けず(笑)自分のことをしようと決めてました。


ジムでいつもと違うクラスに出たり、美容院行ったり、
ずっと気になってた棚を片付けたり、
手紙を出すとか、たまってた事務作業を一気に処理したり、
こまごました買い物を片付けたり・・・

こういうささいな事が、自分の生活にメリハリを
与えていることが改めて分かって気持ちイイ。

2ヶ月ぶりの仁針堂で、しっかり自分メンテも完了したし(笑)。


そんな中、以前仕事でご一緒して、共感することが多い
とあるベンチャーの社長がブログで紹介していたので読んだ本。

ゲームの父
「横井軍平伝」




・・・・本との出会い方って色々あって、
今回のように誰かが勧めた本を読む事も多いけど、
そういう場合、その相手に対する共感やリスペクトが
そのまま本の感想になる気がする。

この本もすごく共感したし、純粋に刺激になった!
いっきに読んでしまったよ。


横井軍平は、現在の任天堂の基礎を作り上げてきた人物です。
トランプや花札を作っていた任天堂に、
大学で落ちこぼれた理系出身の横井が何故か入社し、
それを機に、任天堂は地方のイチ企業から世界のNINTENDOへ大きく飛躍していきます。

彼の残した有名な言葉、

「枯れた技術の水平思考」

が具現化されてきたいきさつを、この本では詳細に伝えています。

「枯れた技術の水平思考」とは、

 # 難しい仕組みを使ったり、ゼロから何かを作る事ばかりを考えるのではなく、
 # 既に当たり前のように存在し、世の中で十分こなれている技術(=つまり
 # 既に量産化され、安価での生産が可能)を、
 # 少し違った視点から料理して新たなムーブメント(商品)を作る

という考え方です。

・・・コレ、すっごく大事な事だと思うんだ。

横井さんは、実はいまや任天堂の代表的な商品になった
ファミコンの開発には携わっていない。

彼はゲーム機の性能がどんどん上がり、
「色数」「画素数」「リアルなキャラクター」といったものに
価値が向けられていくことに危機感を抱いていたのだとか。

そういう部分での競争が激化すると、一部のマニアには受けても、
本来のゲームユーザーは、難解なゲームからどんどん離れていくし、
見てくれの良いことばかりがもてはやされ、ゲームの本来の面白さが失われてしまう。

エンジニアは最新の技術を使って物を作りたがるけど、
「そんなのは技術者のエゴでしかない」と、横井さんは一刀両断している。

すごーく分かります。
私が身を置くWEBの世界でも、そういう「仕事を自分の自己満足」でする
エンジニアが後を絶たないもんですから・・・(苦笑)。

新しい技術がどんどんできる分野は活性化している証拠だけど、
新技術を追いかけるだけの行為は、本当に大切な事を見失う危険と表裏一体。

本当に必要なのは、その商品が利用者にとって「分かりやすい」とか
「楽しい」という要素であるはずなのに。


この「枯れた技術の水平思考」を如実に表現しているのが、
横井さんが任天堂で初期に手がけた「ラブテスター」という商品。

男女が手を握り、もう一方の手でテスターを持つと、
機器の針が触れて二人の相性が分かる というもの。

類似の商品は、今でも時々発売されてブームになったりするよね。

あれは、人間の身体を流れる電流を使った、いわゆる「検針機」の応用
らしいんだけど、そういう「なんでもないもの」を玩具にリモデルして、
しかも暗に「この機械をダシに気になる女の子と手をつなごう」という
商品のコンセプトを、説明なしに誰もが理解するから、商品としての価値が
とても高かった。

こういう商品って、できてしまえば普通にありそうだけど
最初にアイデアを考えるのはモノすごく大変。
頭の中に「無数の引き出し」がある人にしかできない。


横井さんが手がけるのはあくまで「玩具」。

子供がどんな風に遊び、何を楽しいと思うかなんて、
実は何百年も変わっていない。

現に「ポケモン」が流行ったのは、デバイスが変わっただけで、
戦った戦利品として「ベーゴマ」や「メンコ」を友達からもらうのと
ナニひとつ変わらない行為だ、と考える人も多いと思う。

だから、「カラーか」「モノクロか」「画素数は」というのは実は瑣末なことで、
本当にそれを子供達が楽しむかどうかに、真剣に向き合うべきである と。

これは、子供の玩具に限らない事だと思う。

大人だって、もうずうーっと昔から、
「幸せ」「嬉しい」「楽しい」「満足」「充実」といった
人間の感情の仕組みは変わらないんじゃないかなー。

ひとことで言ってしまえば、「本質に目を向けよ」というのが
横井さんのメッセージ。すばらしいよね。


残念ながら、彼は1997年の自動車事故で既に鬼籍の人となっていますが、
彼が現代のネット社会、「リア充」なんていうヘンテコな言葉が生まれてしまう
世の中を見たら、いったいなんて言うだろう。。。

お話を聞いてみたかったです。




*ゲーム&ウォッチも横井さんの手がけた作品。
 ナツカシー! 私は、土管の穴を塞ぐゲームが超好きで、
 好きすぎて、食事時もやって親に没収された記憶がある。

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