金曜日, 3月 26, 2010

生き生きと、死ぬ。

世界の山ベスト10の中では、
カンチェンジュンガ(3位)と
チョ・オユー(6位)が断然好きだ。

なんたって、名前が変でイイ。

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久々と言えば久々、映画ですのよ。

「イングロリアス・バスターズ」
~Inglourious Basterds


 舞台はナチ占領下のフランス。
 ユダヤ人の大量虐殺を行うナチがいる一方、
 ドイツ兵を残虐に殺すことを目的とする集団が
 アメリカにあった。それが「イングロリアス・バスターズ」。
 ある日、ナチの高官だけを集めた映画の
 プレミアム上映が実施される事になった。
 小さな映画館で、ナチを一網打尽にできると考えた
 バスターズ達は・・・・・


親日家なのは嬉しいが、最近出すぎな「世界のタラちゃん」が監督、
プラピ主演のハリウッド映画です。

元々タランティーノの映画を好んで観るほうではないです。
彼の映画は、本当に人が次々、しかも残忍な方法で死んでいくし、
どうも心から笑えない部分があるんだよね。

ただ、北野武の映画なんかがそうであるように、
深層にある「暴力性」とか「自己愛」とか「笑い」って
表裏一帯なところがあるじゃん?

私も例えば、近所の猫を残虐に殺す男のニュースがあれば、
「コイツも猫達と同じ方法で、苦しめて苦しめて
殺してしまえばいいのに!!」とか思うわけですよ。

死んだ猫への情愛と、犯人の男への残忍さは、
全く違うようで、わりと同質のところから生まれた感情です。

・・・要は「人間のエゴをえぐる作品を作る」
という意味ではタランティーノはすごい監督なので、
そんなわけで、タイミングが合えば観ていました。

で、観終わって思ったのは・・・

この映画のレビューとか全然読んでないんだけど、
これを「コメディ」と捉えるか、「ヒューマンドラマ」と
捉えるかで、全然見え方が違うような気がする。

これがコメディだとすると、結構すんなり「娯楽映画」
だと言えちゃう。
バスターズのトップはマイクマイヤーズ(オースティンの)だし、
バスターズの敵となるドイツ兵高官のキャラもちょっとブッ飛んでる。
最後はヒトラーもまとめてブチ殺しなので、
史実とは全く関係ない展開だし。

アメリカ自国で作った映画は、字幕付きの映画が本当に少ないんだけど
(アメリカのそーゆートコが嫌いなんだよな~・・・)、今回は
ドイツ語、フランス語、そして話のキーにもなるイタリア語が錯綜して、
それがまたおかしさを強調してるんだよね。


でも一方・・、この映画の素材がユダヤ人の大量虐殺である以上
そこになんらかのメッセージ性を見つけようとしちゃうと、
とたんに“血なまぐさい”映画になっちゃう。

後半なんて、わりと主要な人物も
ジャンジャンハチの巣にされちゃうし。

でも、人間が「人を殺すときに感じるであろう逡巡、葛藤」が
ひとっつも描かれていないので、それが逆にリアリティを
消し去っているんだろうな。


好き嫌いはあるものの・・・・例えば、映画を観た事が
ない人に「映画ってどんなものですか?」って
聞かれたら、この映画をひとつとしてあげてもいい。

そんな感じの「映画らしいエッセンスが詰まった」
映画だなと思います。


世界大戦を扱った映画で、ヒトラーがあんなに
あっさり死ぬ作品ってきっとほとんどないので、
人は、わりとそこに爽快感を感じるかもしれない。

「爽快感」って言葉は変だけど、
実際モンダイ、そういう感覚なのですよ。困った事に(苦笑)。

最後の映画館大爆発は、
西部警察バリの(や、予算はその何十倍だろうけど)
火薬使いすぎ的シーンですよ。


* こういう映画のブラッドピットって
 生き生きしてます。いつまでもオコトマエだな~。
 役の人格を自分と同化させる必要がないから、
 「着ぐるみの中の人」みたいに
 苦悩せず演じられるんだと思う。

3 件のコメント:

旧ヤハギ さんのコメント...

あー
映画観てねぇな

はかせ さんのコメント...

はかせの個人的な映画観は、"すべての映画はなんらかのエンターテイメント"です。どんな映画も興行収入の問題は避けて通れないので、映画の本質は「娯楽」に有りだと。

ここでいうエンターテイメントは、知性だったり、おしゃれだったりというのを含みます。

なんていうか現代人って、もはやファッションやインテリジェンス、エロや死すらもエンターテイメントの一部にしてるんじゃないかな、と思うので。じゃなきゃエヴァンゲリオンが流行る理由がよくわかんない。

知的好奇心を満たすってのも、ヒューマニティーを養うってのも、エンターテイメントなんじゃなかろうか、と思うのよ。

今や扱えるテーマの範囲が広いから、教養すらエンターテイメント化されていると言うか……。

なので、人が死ぬ映画もだいたいは娯楽として観てるような気がします。

タランティーノは映画のもつエンターテイメント性をよくよくわかってる人だと思うので、(特に後半の作りはぶっ飛んでるのが多い)
>人間が「人を殺すときに感じるであろう逡巡、葛藤」がひとっつも描かれていないので、
っての、すごくいい褒め言葉だな、と。

タランティーノは死を娯楽として昇華して料理してる映画が多いような気がします(ただ、料理しきれず物語が破綻して、みんなぶち殺して終わり、って感じでつまんないなー、って作品もいくつかあった気がします)。

主要人物の「死」としては、マンガ版の『デビルマン』。もし未読ならおすすめします。かっちゃんの死よりも衝撃的でした。

でも、「はだしのげん」だけはダメ。あれだけは正視できない。幼少期のトラウマです。

日本橋うさぎ さんのコメント...

チョモランマ!

じつは、「K2」という味気のない名前がけっこう好きです。
意味を調べたら「カラコロム2号」と聞いて、より好きになりました。