木曜日, 3月 22, 2012

失ったものを数えない。 ~視覚障害のフリークライマーが見つけた明日への希望

最近、いろんなサイトに
「これまでの閲覧履歴からおすすめ商品を表示する」
楽天のバナーが出るけど、会社のPCが、
どーかと思うくらいクライミンググッズばっかり表示します。

チョーク、カラビナ、シューズ・・・。

私は画面のキャプチャを取って資料を作ることも多いので、
業務上メーワクなんすよねー(じゃー会社で見るなって話ですねw)。

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さて。
週末の天気が良くないので、全然山にいけません。
計画が潰れてばっかりです。まあおかげでたまった本を読めたけど。

そんなわけで、山の記録とか書くことがないのが
アリアリなんですがw、それならば と久々に本の話なぞ。
(定期的に文章書くトレーニングしとかないと「文章力」って衰えるもんで)


『見えないチカラ
  ~ 視覚障害のフリークライマーが見つけた明日への希望 ~』
小林 幸一郎 著



視覚障害があるクライマーの登攀にかける想いや人生を綴った1冊。

小林さんは後天性の視覚障害であり、目が見えていた頃から
クライミングに入れ込んでいた人・・・とは言え、徐々に視覚を失いながらも
クライミングを続けようと思ったその意思がすごいし、現在は
主に視覚障害の方のためのクライミングスクール「モンキーマジック」の
代表としてもご活躍されています。

私は知り合いに視覚障害の方がいるんですが、
そういう人たちがあらゆることを積極的に・・・というより
ごく普通にこなしていくことに毎回驚かされます。

ただクライミングって、本当に目が見えなくても
できるのかしら・・・と、最初は半信半疑でした。

クライミングは「オブザベーション」という
これから登ろうとする岩場を入念に観察して
「あそこに手をかけて・・・あの出っ張りに足を置いて・・・」と考える作業があります。

目で岩場を見ることができないということは、つまり
「オブザベできない」ということなわけで。

ところがですよ。

彼はごく普通のクライマーとして、
あらゆる岩場に取り付くわけです。
しかもトップロープじゃないよ。リードで。
国内の岩場はもとより、ヨセミテのショートルートもこなしちゃう。

小林さんが大きな影響を受けた全盲のクライマー
エリック・ヴァイエンマイヤーにいたっては、
なんとセブンサミッター(7大陸の最高峰登山達成者)!


・・・不思議なことなんですが、この本、読み進めるウチに、
「目が見えないのにクライミングやるなんてすごいな~」とかではなく、
単なる「魅力的なクライマーの自伝」として読むようになるんですよ。

目が見えるとか見えないとか、そういう事をあまり意識せずに・・・
というか“忘れてしまう”。

だって普通にクライマーとして、人間として魅力ある人ですから。


私は冒頭に、「徐々に視覚を失いながらもクライミングを続けようと
思ったその意思がすごい」と書いたけど、
それってなんだか 変な感想 だったんですね。

視力があろうがなかろうが、手足があろうがなかろうが、
クライミングに限らず、人生の中で趣味というのは「やりたいことをやる」
のが基本なわけで、別に「すごい」とかそういう問題じゃないわけだ。

だからこの本を読んでても、特に視覚障害とはなんの関係もない、

 「自然の中で感じる疲労は、都会で溜め込んだ私の疲れを取り払ってくれる」

なんて感じの一文に、「分かる~。」と
「共感」してしまったりするんですよ。


感動 ではなくて、共感。

小林さんは江戸っ子で、とにかく新しい経験や出会いに「ワクワク」してしまう
という点で、私自身が大いに共感できるということもあり。

偉大なクライマーの本はたくさんあるけど、
この本も「目が見えないクライマーの話」としてではなく、
「ある立派なクライマーの自伝」のひとつとして面白い。


 視力が徐々に失われていく中で、「できなくなる事」を
 数えて絶望してばかりいた。
 いまは、「視力がなくてもできること」を数えて、いつも
 ワクワクしている。


私も、「何かを選択したことによって、何かを失う」
という経験はたくさんしてきたけど、失ったことやできなく
なったことの数って、本当に数えても仕方ないんだよね。


・・・・ついこないだ妊娠した友人や、離婚した友人がいる。
私も4月から異動で環境が変わる。自由な時間は減りそう。だけど、

 あれも、それも、これも、できなくなっちゃうなー。

ではなくて、

 いまある資産(時間、お金、体力、環境・・そういったものすべて)で
 できることはなんだろう?

という思考で、いつもいたいな~ と思います。
言うほど簡単なことじゃないけどね(笑)。

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