一方的に怒鳴るタイプのヤバめユーザーのクレーム電話で、
アホだ ボケだ テメーは教育がなってねーだ と罵られたあげく、
1時間半に渡る謝罪の末(まー謝るような事はやってないんだが)、
「やればできるじゃーねーか」と言われた。
・・・・は、ハア。。。ありがとうございます。
でもどっちかっつーと、褒めてくれなくていいから
私のこの1.5時間を返して欲しいのですが。
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このところ「オンシーズンの一般登山道では行った事ない山に
バリエーション(含む岩や雪)で行く」という機会が多いんですが、
今回もそのパターン。
剣岳・初 本チャンルート です!
個人的にこの夏のメインイベント、というか勝負山行で、
実は「私の実力で果たして行ってもいいのかどうか・・・」と、
ギリギリまで悩んだ末の決行でした。
結論から言うと・・・・
やー すごかった!! 何から何まですごかった!!
30ウン年生きてたって、
知らない事、新鮮な事はたくさんあるのね~(笑)。
ビビリまくり、勉強しまくりの4日間でした。
以下、今回はかなり今後を踏まえた備忘録の要素が多いので、
本チャンやらない人にはツマラナイかも。そして長い。
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【DAY1】
(前夜発バス@新宿)⇒室堂~剣沢キャンプ場(正午すぎ)
初日の天気はガスガス。やや不安な出足です。
単なる入山日だったわけですが、20数kgのザックを背負っての
3時間以上の登りは、寝不足の身体には結構な負担だったりします。
お盆の少し前なので、テン場もまだ余裕。
初日は、取り付きまでの道のりをカラ荷で偵察後、
軽く宴会して早めの就寝。
・・・・しかし山やる人って、なんで飲める人ばっかなんだろう(笑)。
【DAY2】
剣沢~剣沢雪渓~平蔵谷~源次郎尾根Ⅱ峰(の予定)~剣山頂~剣沢キャンプ場
いよいよ本チャンルート!
初日はアルパイン初心者の登竜門、源次郎尾根に向かいます。
40分ほどの沢筋のガレと、3時間程のキツーイ雪渓歩きで、早くも疲労が。。。
源次郎の取り付きに向かうため、平蔵谷を左へ。目印は大岩。
今回は雪渓の状態が悪く、取り付きまでがなかなか難しい。
今回はグループ内に本職のガイド2名、加えて熟練者がいるにも関わらず
取り付き探しに難儀。
ようやく「ここでは?」と見つけた岩場に取り付く。
・・・・結果、お目当てのルートはお隣だったようで。。(苦笑)。
結局、源次郎には登れなかったんですわ。
しかしコレ、猛烈に勉強になりました。
まずアルパインは、目的のルートを探す事自体が
テクニックのひとつだって事。
「取り付きが分かれば半分成功」というリーダーの言葉も納得です。
それに未知の壁なので、グレードが分からない。
それでも取り付いた以上登らなきゃいけない時もあるんだよね。
しかも、普段触られていない岩場は非常~~に脆くて、
ラストだった私は落石の嵐に巻き込まれ、
あわや数センチで肩が砕けるかというラクを受け・・・・。
実は今回、前日入りしていた仲間が落石で足を怪我して敗退したり、
私達の入山の数日前に、すぐそばの岩場でスノーブリッジの崩壊があり、
若い方が亡くなるという事故もあり(しかもこの事故を最初から最期まで
見届けた方が、ジムの顔見知りだったという驚愕の事実を後で知るんですが・・・)、
前段階でわりと不穏な話題が多かった。
それだけに、とにかく細心過ぎるくらい細心の注意を払っていたわけですが、
それでも事故は起こり得るんだよね。。
とにかく数時間緊張しっぱなしでした。
結局、未知のルート(リードした人の名前をとって、通称「Sルート」(笑))は
2Pで終わり、あとは尾根筋のバリエーションルートを数時間。
ついに山頂へ!
久々に山頂を踏むことができました。
・・・・や~ 嬉しかった!!!
このところピークに振られまくりだったからね。
私はやっぱり「ピーク踏みたい人」なんだなー。
山登りを始めた時の「原点」なんだよね。山頂を踏むって。
山頂で見た景色、きっと忘れられないな。。。
剣は一般ルートもそれなりに難しいので、
下山の難所「カニの横ばい」では、またも小心っぷりを
見せ付けるわたくしなのでした。
【DAY3】
剣沢~剣沢雪渓~長次郎谷~八ツ峰六峰Cフェース~剣沢
この日も3時起床⇒4時発。暗いうちからのスタートです。
前日同様、剣沢の雪渓を歩き、昨日のひとつ先の長次郎谷を左へ。
入り口左のレリーフが目印です。
ここは、急坂の先の真ん中に「熊の岩」という目印の岩があり、
岩場もかなり開けて分かりやすい。
Cフェースは人気のルートですが、
行動開始が早かったので待ち時間なく取り付く。
本当は5Pのうち、私は2と5をリードする予定でしたが、
事情がありまして(まー私がチキンって事だ(笑))2P目のみをリード。
ムーブ自体は簡単なので、残置ハーケンの位置関係や信用度、
支点の取り方などを余裕を持って観察することができました。
サビサビのハーケンやリングボルトもあるけど、
昨日とは打って変わって残置が多数あるのが素人には嬉しい。。(笑
登り切った時の開放感が最高のルートでした。
や~ やりきった~。 サア、降りるぞ!
・・・・と、腰を上げたわけなのですが、ここから大トラップ。
懸垂の支点が微妙な位置にあり、2P降りたところで
非常に難しいところに出てしまう。
熟練のKさんが先行しルートを探るも、かなり脆い足場。
左にトラバースしながらおっかなビックリの懸垂。。
最後は雪渓の下をくぐって、最近崩壊したと思われる
ガレ場を抜けての脱出。・・・これはさすがに怖かった。
エキスパートの方たちは、登れるグレードの高さや身体能力ではなく、
「何かあった時の対応法の引き出しの多さ」がスゴイんだって事を
心から実感しました。
でも、開放感のある最高のルートでした。
ココは絶対また来たい!!
仕事で一日早く下山するSさんと、
翌日はお隣の真砂沢を拠点にするKさん(脅威の体力!)とはこの日でお別れ。
【DAY4】
剣沢~室堂~黒部ダム~扇沢~信濃大町~一路東京へ・・・・。
最終日はのんびり4:30起床で6時下山開始。
さすがに身体は疲れてますが、最後で怪我するのもアホらしいので
気を抜かずに下山します。
この日は行程中一番のドピーカンで、
まさに「これぞ夏のアルプス!」ってな景色を満喫しました。
これは文章で書いても仕方ないので、写真をご堪能あれ。
*最後の剣のお姿。
*遠くにホンの少し槍も。
*穏やかな山容の立山連峰
*眼下に室堂が見えてきました
*キレイなみくりが池の湖畔。ここの温泉で
3日分のアカを落としまくる。
*トロリーバス~ケーブル~ロープウエイと乗り継ぎ、
黒部ダムが見えてきました。
*ダムでは観光放水中。圧巻ですが、ダムって人間が自然の流れを
強引に壊しているわけで、ちょっと心中は複雑・・・。
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最後はバスとJRを乗り継ぎ、電車の混雑っぷりに
やや辟易しつつ、夕方には無事新宿に着く事ができたのでした。
・・・・あ~~ こんなの文章で説明するのムリだしっ!!
スケール、体力、精神力、危険度・・・・なにもかもが
「やってみないとわからない世界」でした。
実は、初日の源次郎で落石を受けそうになった時は、
結構本気で「もうアルパインやりたくないな・・」とか思ったんだよね。
なにせチキンですので(笑)。
でも、すべての行程が終わってみると、
あの「やりきった感じを絶対にもう一度
味わってみたくなりました。。
恐るべし、山マジック!
やればやるほど、自分の未熟さがヒシヒシと辛い。。
もっと もっと もっと 上手くなりたい!!
たくさんの経験をして、どんな時でも対応できる引き出しを
自分の中にどんどん作っていきたいな。
2 件のコメント:
お疲れさまでした。
確か11日~14日ですよね?だとすると6峰CフェースのときはとなりのDフェースを登っていたものと思われます。おそらく時間も同じくらいですね。
5・6のコルへの下降は左に行きすぎると三の窓雪渓側へ降りてしまい大変ですね。本当はクライムダウンのみで降りられるはずなんですが,私は逆に右へ行きすぎて一回懸垂しました。
初アルパインでのリード,すばらしいです!
いちろー さん>
そうなんですよね。聞いてたので会うかなーと思ったんですが、
ベースが剣沢じゃなかったんすね。
> 本当はクライムダウンのみで降りられるはずなんですが
らしいですね(苦笑)。私は源次郎を間違った時の1P目と、
この懸垂が一番ヘビーでした。。
結局アルパインて、イコール「予定通りにいかないもんだ」
っていう前提があるんですね。。ホント勉強になりました。
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