金曜日, 4月 22, 2011

刺激を受けた落語の梯子@上野&八重洲

知り合いのサイトに寄稿してる連載がまた
アップされましたので、よかったら↓。

【第5便】“ひとり”は“独り”か? ~ひとり旅のススメ
http://epstein-s.net/archives/3478

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たまたま立て続けに落語を聴いたので、
2つまとめて以下覚書で。
どっちも良かったんで長くなっちゃったな・・。


■1■
 定席寄席4月夜中@鈴本
 ※色物除く/途中から

・扇辰     権兵衛狸 ※最後数分チラっと聞いただけですが、たぶん
・文左衛門   手紙無筆
・正朝     棒鱈
 ----仲入----
・玉の輔    新作(不明) ※「真似して失敗する」落語っぽい話
・菊之丞    不動坊


知り合いが玉の輔さん絡みのお仕事をしたそうで
その縁で、久々に仕事帰りに鈴本へ。

寄席はたぶん半年振りくらいだけど、
久々に行くと、いかにも“寄席っぽい”番組が
並ぶので面白かったなー。ヒザで三味線の色物が入ったりするのが、
また「ぽくて」よい。
女性が出ると、着物の着こなしに自然に目がいきます。
やっぱり着慣れてる人は粋でカッコイイ~。


正朝の「棒鱈」、久々に聴きました。
この人田舎モンが出てくる噺、よくやる気がします。
ていうか、扇辰から3人連続で田舎モン噺。流行ってんのか?(笑)

以前、談春で棒鱈を聴いた時に、「ああ~ 談春に
あんま向いてない噺なんじゃないかなー」と思ったんだけど、
正朝がやるとすごいシックリくる。「お見立て」とか
「試し酒」とかも得意そう。洋服とかと一緒で噺と噺家の「組み合わせ」って大事よね。

トリの菊之丞はさすがの主任!
この人は何故か寄席でやるとスゴイんだなー。
ホールで2回聴いたことあるけど、なんか「アウェイ」感があって。

もう何年も前にこの人の「元犬」を聴いた時に、
「うわー上手い人だな~~」と唸ったけど、あそこから相当磨きがかかってる気がする。
前は若旦那が出てくる噺(「船徳」が素晴らしイ!!)が多かったけど、
いまやオールマイティな実力者。
実直に古典をやるところなんかは三三と通じるものがあって、
一定期間をおくと、ふと「あ、聴きたいな」と思い出す人です。

人気云々で言えば、他にチケットの取れない噺家はたくさんいるけど、
この人は絶対にウン10年後は大名跡確定の人だと思います。






■2■
立川志の吉@八重洲独演会<その26>

・ぞろぞろ (談志弟子前座/談吉)
・紙入れ
 ---仲入---
・浜野矩随


こちらは隔月のライフワーク(笑)。

談志師匠にこんな若いお弟子さんがいるとは知りませんでした。
前座にしてはすごいクオリティ高いと、
(エラソーですが)個人的に思います。

「大きな声で、手本通りに、元気よく」というところは
ある意味非常に前座っぽくていいです。もう1回聴きたい。

1本目の「紙入れ」は間男(不倫)の噺なので、
イイヒトの典型みたいな志の吉君がやると、どーも
ドロドロした感じが出ないというハンディ(?)が・・・(笑)。
でも、女将さんの演出が良かった。

今回は2席目が勝負でしょうね~。
浜野矩随、師匠志の輔の得意ネタですからねー。
いよいよそこまで手を付けるか と。


 # 彫刻の名人・浜野矩康の息子、矩随は、
 # 駄作しか彫れずいつも先代と比較され泣かず飛ばず。
 # それでも先代時代の付き合いを忘れていない若狭屋だけは、
 # 黙ってその駄作を買い上げてくれる。
 # 
 # しかしそれに甘えた息子は、ある日若狭屋から
 # 激しく叱咤され、「駄作を作る職人なんざ死んじまえ!」
 # と追い返される。
 # 覚悟を決めた息子は、自宅に帰り老いた母親に、
 # 「お伊勢参りに行く」と嘘をつき今生の別れを告げるが・・・・


昼席がネタ下ろしだったそうなので、
私が聴いたのは2回目。

前に誰かの浜野を聴いた時は、確か最後に
母親は自害の後亡くなっちゃったような気がしたので
調べてみたら、やっぱりオリジナルでは母親が亡くなるんですね。
立川流だけが、「一命を取り留める」って演出に変えてるのかな?

でも、そのほうがいい。
噺としてわざわざ母親を死なせる意味はないもん。
できる事なら、噺の中でも意味なく人は死なせたくないよ。


・・・こういう噺、本当に難しいと思う。

「芝浜」とか「らくだ」とか、いわゆる大ネタと呼ばれる噺は
たくさんあるけど、こういうのは噺の完成度が高いし
途中のくすぐりも含めて長い時を経て洗練されてるので、
あるレベルを超えた人であれば、
誰がやっても60点位にはなると思うんだよね。

でも今回の浜野とか中村仲蔵みたいな、ある人物にフォーカスした
伝記みたいな噺って、笑うトコないし、噺自体は平坦だし、
どっちかっていうと講談向けの噺というか。サゲもあってないようなもんだし。
演者の実力がモロに出るので、今回の志の吉君も・・・・
聴いててかなり苦しかったー というのが正直な感想。手に汗握った(苦笑)。


でも本当に頑張ってる!!
この1年で持ちネタが急激に増えたもんなー。

立川流は出世が遅いので、まだ二つ目なのは仕方ないとも思うけど、
同期がどんどん真打になっていくのを正直悔しい思いで見ている
部分もあるとは思うんだよね。

でもそれを逆にエネルギーにして、あらゆる事を模索してる姿勢は、
同世代として落語を超えて刺激をもらってます。


・・・この年になると「経験した事ないこと」とか「知らないこと」を
「分かりません」と素直に認めるのがどんどん難しくなるじゃん?

いらんプライドが邪魔したりして、せっかくの勉強の機会を失う事も
あるんだけど、そういう時には志の吉君に学んでもっと素直になろうと思います。


嗚呼・・・・ 真打になる時は泣いてしまうかもしれないわ(笑)。

2 件のコメント:

白鳥 さんのコメント...

正朝師匠の田舎もんの噺は確かにいいですね!
それにしても三席連続って… 普通そんなにネタを被せないんですけどね!
 「浜野矩随」、私が最初に聞いたのは先代の円楽師匠だったと記憶してます(「えん」の旧字が入力不可能)
仰る通り立川流はおっかさんを無意味に死なせていませんね。
私も断之助師匠のを聞いたことあって、ナガハさんと同じ感想を持ちました。
 そういえばこの噺からはずれますが、夏の定番「たがや」では断志師匠だけがお侍でなく「たがや」さんの頸を飛ばしています。
しかしどうやらこれはこっちが元の噺のようで、見物人がこの事を心から悲しんで「たーーがやーーーーーー」と泣くように叫んで終わるということです。
まぁ常識で考えればこっちの方がまともな結果なんでしょうね!
他の立川流の人のは聴いたことないんですがどうしてるのかなぁ?
 立川流何度真打昇進に挑んでも叶わない人もいるからなんとも言えないけど、まだまだ楽しみですよね!
そんな中ですから家元の健康状態も気になるところです。
 ああ 長くなっちゃいましたね(笑い)
後はこのコメントがちゃんとこのページに現れてくれるかどうかだけが心配です。
二つ前の落語のお話にかんしてもコメントさせていただいたんですが「保存」されたままなかなか出てきませんでした。
今度こそ直ぐ出てほしいなぁ!

ゆっきー さんのコメント...

白鳥さんのコメントは
ちゃんと現れているようです。

も一個の連載
二人でいるのに孤独
に注意し 毎日を暮らそうと思いました。