水曜日, 12月 22, 2010

「夫婦の信頼」は年末の風物詩

知り合いのサイトに寄稿した記事がアップ。
お時間あれば。

第1便~ 旅の“OMOTENASHI”に想う
http://epstein-s.net/archives/category/visits_kyoto

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さて。
いつもの面子で、今年も「落語聴き納め」。

※本当は志の吉君で締めだったのに、
 会社の忘年会に潰された・・・。チッキショ~!


【医と可笑し~ 立川談春独演会】

・談春の雑談
・「人はなぜ癌になるのか」 ~慶応大学教授公園
・癌をテーマに活動する団体への寄付セレモニー等
 -- 休憩 --
・談春「芝浜」


実は、チケットを買った時はまったく知らなかったんだけど
(第一そんなアナウンスはほとんどなかった!)、
製薬会社がスポンサーについた癌撲滅のチャリティーイベントだったらしく、
単なる落語会ではなく、途中に癌に関する講演が挟まったりしてビックリなイベントでした。

講演自体は、癌の発生のメカニズムと最新医療の様子を
分かりやすく説明していて「ナルホドな~」とは思ったんだけど・・・
いかんせん心の準備が・・・・(苦笑)。

完全に「落語を聴くぞ」モードで会場に行ってるから、
なんというか、パワポのデータとか見てると段々仕事な気分に・・・(苦笑)。

談春の噺は1本のみ。「これで“独演会”はナイヨナ~」と思ったけど、
癌のチャリティーにささやかながら貢献したわけで・・・マ、いっか。

そんなわけで、ある意味初体験の落語会になっちゃったわけなんだけど、
やっぱり最後は談春師匠キメテくれました。

『芝浜』


 # 腕はいいがサボってばかりの魚屋の勝五郎。
 # そんな勝がある日芝の浜で革財布を拾います。
 # 財布の中には大金。勝は「これで借金を返し、飲んで暮らせる」と大喜び。
 # これを心配した女房は、「財布を拾ったのは夢だったんだ」と大芝居をうち、
 # 勝が再度働きに出る意欲を持つように仕掛けます。
 # 心を入れ替えて働き始めた勝五郎。女房は3年後の大晦日に、ついに嘘を打ち明け・・


なんだかんだ言っても、落語ファンはコレを聴かないと
年末って気分になれないよねー。

大ネタだけど、とても有名な噺だけにやってる人は大勢いて、
私もこれまでに、実際の高座だけでなくCDなどでも何度も聴いているけど、
談春師の「芝浜」はこれが初めて。

談春版「芝浜」は、魚屋の勝公がこれでもかと単純でバカな感じに描かれていて、
そのあたりはなんというか「立川の香り」というか、
要は談志の心得が見え隠れしてた。

この噺は忠実にやろうとすると、勝五郎が革財布を拾うまでのシーンが
とても長いんだけど、談春版はこのシーンは回想のみ。
談春は、最後の女房に嘘を打ち明けられた後、勝が3年間断っていた酒を
飲もうか飲むまいか逡巡するシーンに長く時間を割いています。

完全に筋を知っている話でも、
最後のシーンで、・・・・やっぱり泣きました(苦笑)。

だって談春版の勝五郎、カワイイんだも~ん!

酒を飲みたい!でも飲んだらまたダメになる!って悩むトコとか、
嫁に「バカやろう!」「言う事聞け!」と怒鳴りちらしながらも、
心底女房に惚れてる様子が伝わるんだよ。ダメンズにはたまらないかも(笑)。


途中、地噺っぽく談春が解説を入れてたんだけど、

 「財布を拾ったのは夢だったと分かった勝五郎は
  その後、心を入れ替えて真面目に働くようになり・・・って~話なんだけど、
  人間そんな簡単に心を入れ替えられねーやね(笑)。でもまあ、一生懸命
  働くようになったわけで・・・」


って話を入れて、なんだかやけに納得しちゃったんだよ。

そりゃそーだ。
人間、そんな簡単に変わらないよ。

噺家も、そう思って喋ってるんだ。なんかホっとした。


・・・・なにはともあれ、消化不良な部分もありましたが、
年末気分を味わったからヨシとしましょう。

今回は会場が関内だったので、
帰りは中華街で、知る人ぞ知る、身体に優しい薬膳中華料理を出す小さなお店で、
身体に良さそうなお食事と、身体に悪そうな大量の紹興酒(笑)を
頂いて帰りました。

楽しい面子と飲むお酒はホント美味しい。


私は前職が出会い業だから、当時は

 「寒い季節には人恋しくなる・・・云々」

っていう広告コピーをよく書いてたけど、
私自身がこの時期に珍しく人恋しくなるのは、
寒いからじゃなくて、「芝浜」の夫婦に感化されるからかもしんない(笑)。

本当の意味での「信頼」が、あの夫婦にはある気がするから。

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