金曜日, 1月 27, 2012

「生きること」はかくも滑稽 ~エッセンシャル・キリング

こないだ友達(NOTクライマー)の前で手帖を開いたら
「グレード比較表」がハラリと落ちてきて「何?」て聞かれたので
その用紙が何かを説明したところ
「なんでそんなん持ち歩いてんの?」と聞かれた。

や。持ち歩くでしょう、フツー!
女子の定番アイテムでしょう!?

------

冬って映画を観るのにいい季節だと思う。
身も心も乾燥してて、物悲しくて、そして映画館が暖かい(笑)。


『エッセンシャル・キリング』 
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ヴィンセント・ギャロ 他


 # アフガニスタンの渓谷をアメリカ軍の追跡から逃げようとする
 # アラブ人テロリストのムハンマド。
 # 一度は捕まったものの、移送の途中車が道から転落し。
 # ムハンマドは事故に紛れて雪に覆われた山の中へ逃げ込み、
 # 孤独な逃亡が始まる


「ムハンマド」って・・・ギャロ、アラブ人じゃないじゃん。
というツッコミはこの際置いといて。

ギャロさんといえば、「バッファロー66」ですよ。
以降、音楽や芸術など、相当多方面に彷徨いつつも、
俳優業も引き続き行っております。

「バッファロー66」では、「ああいう役」なんだという認識
だったけど、どうも彼は正真正銘の「ダメボクちゃん系」なんじゃないかと思う。

 自分の才能を信じていろんな事やってみちゃったりして、
 でもどれもわり中途半端になっちゃったりして、
 で、「どうせ俺には才能がないんだーー!」とか言って、
 女の胸に飛び込んで、「ヨシヨシ」って頭なでなでしてもらう・・・

みたいなねw 

ダメんず系女子(←私だ)にとって、
「腹が立つのにほっとけない系」とでもいうか。

以前フジで、グリーン(メインステージ)の前を通ったら
ステージでなんだか微妙に音がずれるギターをかき鳴らしてる人がいて、
「なに?音声テスト中?」と思ったら、ギャロ@本番中だった、という事があり。

・・味があるよねー。ギャロさん。


そんなギャロさんが、ただただ逃げる・・・今回の映画はそんなお話です。

込み入ったストーリーは一切ないし、
逃げている場所もよく分からず、
本当にただただ逃げてるだけなんです。

なのに、中盤少々退屈なところがあったものの
わりと最後まで観れたのは、「人って“生きる”という欲望があれば
なんでもできるんだぜ!」っていう気迫が伝わってきたからかも。

映画のタイトルが「エッセンシャル・キリング=不可欠な殺人」
であるように、ムハンマドは生きるために人殺しもいとわないわけなんだけど、
それよりも、ある時は木の皮を喰い、ある時は赤ん坊のいる女性を襲い
母乳を啜って(!)でも“生き抜く”ことにこだわる姿は、
なんていうか「滑稽」ですらある。

結局、生きることって、かなり「滑稽」な事なんだよね~
そのある種の滑稽さを出すのに、ギャロはベストキャスティングだったなとは思うw

人間の人生において、「いらん事」をぜーんぶ削ぎ落とすと
ああなるんだろうな。

ただ「生きる」って、「呼吸して食べること」ではなくて、
趣味とか人間関係とか仕事とか、「文化的な営み」ってやっぱり不可欠で、
社会学的な「生きる」と、今回の映画のような生物としての
「生きる」とは全然意味が違うんだよね。

映画は、最後ちょっとモヤモヤした感じで終わるんだけど、
今思えばあれは、生物としての「生きる」と、
文化的人間としての「生きる」の境界線みたいなものを
見せたかったのかもしれないな~ なんて思ったりもした。


「バカと天才は紙一重」っていうけど、
「笑いと慟哭も紙一重」だなって、最近本当によく思う。

それが分かるだけ、私はいろんな事を積み重ねてきちゃった
(=要は年をとった)ってことなんだろうねえ(笑

よろしければ。

0 件のコメント: