木曜日, 8月 26, 2010

安直に笑わせちゃダメなんだ

先月観た志の吉君の国立演芸場、ココに書いてなかったことを
唐突に思い出した。メモメモ。

・前座・・・(忘れた。談春のお弟子さん)
・反対車
・ゲスト:山田雅人(かたり/野球史)
 --仲入--
・水屋の富

山田雅人さんの語り、素直によかった。ああいう話芸もあるんだな。
彼の「水屋の富」は初見。富くじで当たった大金を盗まれやしないかと
眠れぬ日々を送る小心者の水屋の男役は、申し訳ないけど志の吉君のハマリ役(笑)。

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と、いうわけで
志の吉君・八重洲独演会VOL.22。


前座:真田小僧(立川春樹/談春のお弟子さん)
青菜
--仲入--
死神


前座さん、よかったよ。
談春のお弟子さんはわりとレベルの高い人が多い。師匠が怖いから?(笑)


「青菜」は夏のド定番。この噺を聴くと「ああ~、夏だなー」と思います。

この話に出てくる「柳陰」というお酒が、みりんの一種だという事を
だいぶ前に知って以来、お酒を飲むシーンがどうにも美味そうに
見えないのが悩みなんですが(笑)。

今は、茄子もきゅうりもいつだって店頭に並んでいるし、
どこへ行っても冷房ガンガンで、本当の意味で季節を感じる機会が少ないから、
落語で季節を感じることができるのはシアワセなのかも。

後半の「死神」は、サゲの種類がたくさんあることで有名な話で、
特に立川流の噺家は、あらゆるサゲを試しているんだよね。

今回も志の吉君は、昼の部と夜の部でサゲを変えたとか(チャレンジャーだ!)。

・・・まあぶっちゃげ、落語のサゲって「大爆笑!」みたいなものって
ほとんどなくて、落語は話の中盤で笑わせるものが多いから、
サゲの種類は、面白いかどうかではなくて、その噺家にとって
「なじんでいるか否か」という事のような気がするけどね。個人的には。

死神が消える呪文の言葉に、現代的なくすぐりを入れるのが彼の手法で、
今回は「アジャラカモクレン AKB・・・」でした。
ちょっと前まえでは、
「アジャラカモクレン ペヨンジュン・・・」だったんだよね。
時の流れを感じるよー(笑)。


今回は、前半のマクラがわりとノッてたみたいで、
学校や病院に呼ばれた営業話をわりとコミカルに話してました。

が。

ここで、ファンとしてひとつだけ。。

立川流の噺家は、諸事情あって寄席に出る事ができません。
だから、立川流は若手であっても自分の芸を披露する場所を
自分で開拓するしかなく、いわゆるお笑い芸人の言うような
「営業」的な仕事も必然的に多くなるんだと思います。

当然だけど、そうすると、落語を一度も聴いた事ないような人が
お客さんの中に大量にいるようなケースも多いと思うんだよね。

するとどうなるか。

当たり前だけど、「いかに分かりやすく、楽しんでもらうか」
という事にパワーを注がざるを得なくて、落語本来の「サラっとした喉越し」
みたいなものがどんどん少なくなっていくんじゃないかと。。

当然、あらゆる舞台を経験できる(温室育ちにならない)という
大きなメリットもあるのだけど。


それはいわゆる「芸が荒れる」ってヤツなのかもしれないけど、
私はそこまで落語のことは分からないので、「荒れてるなー」とかは思いません。

でも、志の吉君のキャリア・実力を考えると、ボチボチ
オーバーリアクションの芸は辞めるか、または客や会場によって
使い分けるようにしたほうが良いのではないかと。。。


リアクションの芸は確かに面白いんだけど、
後に残るものがすごく少ない。

志の吉君は、もう十分に実力があるのに、
時々「それはいらんだろー」っていう大げさなアクションを
挟む事があって、もったいない。

日常生活でも、本当に力のある人って
「俺が俺が」って言わないでしょう? あれと一緒だと思う。

私は彼の独演会も、いわゆる“営業系”の会も見に行くけど、
独演会の時は、もっと
「自分の力も、お客さんも、信じてくれていいのになー」 って思うんだよね。

おこがましい感想なんだけどサ。


・・・たぶん数年内には真打。

それまでには、「真打、文句なし!」って思える
噺家さんに、ぜひともなって欲しいと 切に思ってます!!

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