水曜日, 2月 22, 2012

人間の「本性」が出る時 @立川志の吉・八重洲独演会Vol.32

最近自分の写真をほとんど撮ってないなー。
いま死んだら、遺影は若い頃の写真になるから
いいかもしれんな(あ、死にたいわけじゃないんですよ)。

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さて、恒例のやつです。

「立川志の吉 八重洲独演会@その32」

「新聞記事」 前座:志のポン
「禁酒番屋」
----- 仲入 ----
「厩火事」


このところ、この独演会ではネタ下ろしをするのが
恒例になっていたけど、今回は既に一度聴いた噺のみ。
そりゃー そんなにいっぺんにたくさん覚えられないよねw

今回は、私が勝手に「だメんずのバイブル(笑)」だと思っている
「厩火事」にフォーカス。

 # 稼ぎのある髪結いの女房と、昼間から酒を飲んで遊んでいる亭主。
 # 二人は3日と空かず夫婦喧嘩。女房は仲人でもある大家に
 # 喧嘩のたびに「別れたい」と愚痴をこぼすが、やっぱり惚れている。
 # そんな女房に大家は、
 # 「厩が火事になった時に、愛馬よりも弟子に怪我がないかを心配した孔子の話」
 # と
 # 「宝物の皿を持った女房が階段から落ちた時に、女房より皿を心配した侍の話」
 # をして、
 # 「お前の旦那の大事な皿を割って、旦那がお前と皿のどちらを心配するかで
 # 離縁するかを決めればいい」と、指南する.....


「髪結い」というのは、この時代に女性が稼げる数少ない仕事。
当然、そういう女には「ヒモ」が付くわけなんですね。。

この女房は、今で言うダメンズを絵に描いたような女性で、
夫婦喧嘩のたびに、人には「もう限界!」「あんな男愛想が尽きた!」「別れる!」
とさんざん悪態をつくんだけど、いざ周囲の人が
「そうだそうだ。別れりゃいいんだ」「あの男は最低だ」と同意すると、

「......そんな。ひどいわ。彼もそこまで悪い人じゃないのよー」

と、一転男をかばう立場にまわるという、周りから見れば
「どっちやねん!!」と、突っ込みたくなるような人なわけですw。

今は女性が社会進出をして強くなったって言うけど、
今も昔も、強い女は強いし、弱い女は弱いんじゃないかと。

その割合はたぶん変わってなくて、ただ「そういう情報が
表に出る機会が飛躍的に増えた」だけなんじゃないかなーって
個人的には思ったりします。


…人間て不思議だよね。

飲んだくれ亭主なんて、一般論で言えば
サイテー男だけど、惚れた女にしてみたら、
「憎くても離れられない人」。

世間から普段「人格者」と呼ばてれる人だって、
いざ本性が出るような事態が起これば、
件の「女房より皿を心配した侍」のように
その人の信用がガタ落ちになるようなこともある。

※実際、会社とかで上司に愛想を尽かす時って
 こういうシチュエーションがある気がするw
 私だって、普段分かったような事を言ってたって、
 いざ自分がその立場に立てば、つい保身に走ることもあるし・・。
 普段から、しっかり「自分の志」を持って、
 振る舞いに気をつけなくちゃいけないよね。


「夫婦ならではの組合せ」の面白さ、
「いざという時に出る人間の本性」などなど…

「厩火事」は本当に

 「生きる教科書」

だなってシミジミ思えるイイ噺です。

志の吉君は、こういう「落語らしい気の強い女房」が
とても上手なので、彼の厩火事を聴くのはたぶん3回目
くらいだけど、初見のように楽しく聴くことができました。

私が独演会のお客である以上、
「芝浜」とか「3年目」とか、彼がチャレンジで
人情噺をするときも、きちんと聴いてあげなくちゃ
いけないわけなんだけど…
やっぱり、上手い噺・得意な噺を聴いた時は
「得した~」って思いますw

「厩火事」はサゲもとても落語らしいです。
興味のある方で聴いたことない方は・・・
ぜひ「厩火事」がかかるまで落語に通ってください(笑


次回の独演会は4月。次はどんな噺が聴けるのかな~


*今年も手ぬぐい購入させていただきました。

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